中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

2020-01-01から1年間の記事一覧

来年の予想 - 敵対的TOBの増加、アクティビストの動きの更なる活発化

昨日は日経平均の終値が2万7,568円と30年ぶりの高値でした。企業の業績はまだまだ明るくはないと思いますが、世界的な金融緩和等での先行きを期待して海外投資家の買いが進んで株高ということかと思います。 既に報道でご存じの方が多いかと思います…

役員報酬にESG反映 - 役員報酬総額への寄与割合はとても小さいはずです

コロナの勢いがおさまらない状況下、東京オリンピック開催の慎重論が組織委の複数の理事らから出ているようですね。ヤフーニュースによれば、この理事らは世界中での新型コロナ感染拡大の状況を踏まえ、厳しい見方を示したということのようです。 バッハ会長…

中長期投資でみるべき製造業の事業上のリスク - 企業の安全面の取組みを投資家は見るべき

前回、人権リスクを有価証券報告書で事業上のリスクとして開示する企業も増えていることを紹介しました。SGDSあたりを意識して開示しているのでしょうが、こんな意味の乏しいリスクを開示するより、投資家を意識して製造業が開示すべきと考える事項につ…

人権リスク開示の企業が増加 - 有報に記載するほどの事業リスクと言えるのか?

昨日の日経新聞で主要証券会社の2021年の相場見通しが掲載されましたが、野村證券など4社は企業業績の回復を背景に3万円の大台の回復を予想しているようです。主要証券に限らず、3万円近くまで回復するという予想は多いですね。 さて、昨日の日経新聞…

アジア・コンセンサス - ASEAN主要5ヵ国+インドのGDP伸び率予想

本日はコロナウィルスの変異等の報道もあってか日経平均の終値は26,436円と前日比 ▲278円でした。一方、12月20日でサンセイ(6307)と光通信の件を次のとおり書きましたが、サンセイの株価は予想どおり急上昇しています。 サンセイが買収防…

サンセイ(6307)と光通信の攻防(5) - 今後は光通信は遠慮なくサンセイ株を最大500,000株まで取得可能

サンセイと光通信の件でブログで掲載し、前回は次のとおりサンセイが買収防衛策のルールに基づき取締役会評価期間に入ったことを紹介しました。 今回、12月18日にサンセイは同社の独立委員会から、大規模買付行為に関する勧告書を受領し、取締役会の評価…

中長期での株式投資のポイント - 個人投資家は投資先企業の参入障壁をどう分析するか

今年は、コロナの影響から、年内の仕事は残すところ来週いっぱいで終わりという方も多いと思います。証券会社に勤務の方は12月30日まで仕事だと思いますが、それ以外の業種では年末は年休取得を奨励する企業も多く、最終日の納会もないのではないでしょ…

女性役員拡充へ数値目標 - 目標設定もいいけど投資家の最大の関心事は忘れずに

本日は四季報オンラインのデータが更新されました。四季報記者が各社にインタビューをして四季報は作成されると思いますが、インタビューの内容を鵜呑みにして作成する記者もいるので、四季報の内容をそのまま信じることは決して出来ませんが、今後の投資の…

生保「物言う株主」に一歩 - 銀行とは違います

明日は会社四季報2021年1集新春号の発売ですね。私の場合は四季報オンラインを利用していますので(月額1,000円)、分厚い四季報を購入する予定はないのですが、銘柄を新規に探す時にはあの分厚い書面の方が探しやすいという利点はあります。 さて…

機関投資家との対話では何をアジェンダにすればよいのか? - 機関投資家の関心事項は

数年前から機関投資家との対話(エンゲージメント)という言葉が良く聞かれますが、「当社もそろろそろ機関投資家との対話を実施しようか」と考えている上場企業も多いかと思います。 しかし、一方で、「機関投資家と対話をするにしても決算の話以外に何の話…

企業と機関投資家の重視する経営指標に差があります - ガバナンスサーベイ2020より

三井住友信託銀行が上場企業におけるコーポレートガバナンスの対応状況の実態調査として、ガバナンスサーベイを2017年より実施しており、今回、12月4日にガバナンスサーベイ2020として調査結果を公表しました。 今回は1,664社(製造業670 …

政府が国土強靭化の5ヵ年対策を決定 - 「政策に売りなし」(相場格言)

政府は12月11日に来年度からの5年間の国土強靭化対策を閣議決定したようです。重点的に取り組む対策数は123対策で、追加的に必要となる事業規模はおおむね15兆円程度を目途としており、この15兆円の内訳は次のとおりとなっています。 激甚化する…

脱・株主第一主義からの脱却 ー ステークホルダー資本主義

本日の日経新聞に「脱・株主編重が市場守る」というタイトルで米国弁護士のマーティン・リプトンという方の記事がありました。日経新聞に大きな写真入りでコメントが出る方なので、普通の弁護士ではなく、この方は買収防衛策の生みの親としてポイズンピルを…

コーポレートガバナンス・コードの改訂の論点が公表

12月8日に金融庁のフォローアップ会議が開催され、フォローアップ会議の意見書として「コロナ後の企業の変革に向けた取締役会の機能発揮及び企業の中核人材の多様性の確保(案) 」が公表されました。内容は次のとおり金融庁のホームページに公表されてい…

中長期投資としての銘柄分析:住宅着工件数の今後の見通し - ノザワ(5237)の今後の成長において積水ハウスの動向が肝

本日は株式投資関連の記事を書きます。私の保有銘柄に小型銘柄でノザワ(5237)があります。 この会社はビル外壁に使用される押出成形セメント板のメーカーで、同社の過去7年程度の財務を分析するとPERは10倍を下回っており、またキャッシュリッチ…

ブラックエレファント(黒い象)とESG(環境・社会・企業統治)

11月30日の日経新聞の1面に「『黒い象』向き合う株主」というタイトルで大きく記事が出ていました。「黒い象」(ブラックエレファント)という言葉は私ははじめて聞いたのですが、記事によれば、いつかは起きるが明白な問題を放置し、結果、大きな被害…

東京ドームの臨時株主総会での投資ファンドの株主提案にISSが賛成推奨 - 株価が同業他社より大きく低迷している企業は今後要注意です

本日の日経新聞に東京ドームの臨時株主総会に香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメントが取締役の解任提案をしたことに対して、議決権行使助言会社のISSが株主提案に賛成したとの記事がありました。 12月3日に東京ドームが「当社臨時株主総会の…

買収防衛策の導入・継続に向けて⑥ - 非継続とする場合の重要なポイント

本日は約20日ぶりにテレワークでしたので、定時で仕事を切り上げました。コロナワクチンの海外での承認を背景に日経平均株価が上昇し、本日の終値は26,809円で、来年半ばにかけ30,000円台に向かうという声も聞こえています。 過熱感もあるので、…

買収防衛策の導入・継続に向けて ⑤ - 国内機関投資家が賛成するためのポイント(続き)

前回は第4回目ということで国内機関投資家が総会の買収防衛策議案に賛成するための形式的要件について紹介するとともに、形式的要件以外に注意すべき事項があることを紹介しましたが、本日はこの注意すべき事項について説明したいと思います。 買収防衛策を…

買収防衛策の導入・継続に向けて④ - 国内機関投資家が賛成するためのポイント

前回は第3回目として買収防衛策について株主総会で国内機関投資家の賛成を得るための手続について、次のとおり紹介いたしました。 本日は第4回目として、買収防衛策議案が機関投資家の賛成を得るための買収防衛策スキームの留意点について大きな観点から説…

ROEやROIC等の経営指標の目標値の有報での開示が一般的になりつつあります

本日は買収防衛策の導入・継続についての第4回目を書く予定にしていたのですが、新聞を整理する中で他に書きたい事項が出てきたので、買収防衛策は週明け前半に書きたいと思います。 11月26日の日経新聞に有価証券報告書(有報)でROEやROICの実…

味の素が指名委員会等設置会社に移行 ー 取締役会は今後何を議論する場になるのか投資家は関心を持ちます

昨日の日経新聞でも報道がありましたが、味の素が指名委員会等設置会社に移行します。定款変更が必要になるため、移行時間は来年の定時株主総会終結の時です。 11月26日の味の素のプレスリリースに「移行の背景・目的」として次の記載があります。 1)…

サンセイ(6307)と光通信の攻防(4)ーサンセイが取締役会評価期間一部訂正

サンセイが取締役会評価期間の開始をすることを公表していましたが、11月26日に評価期間の一部訂正を公表しました。評価期間60日としていたところを誤りがあり、90日に訂正したということで、プレスリリースからの該当箇所を一部抜粋すると次のとお…

サンセイ(6307)と光通信の攻防(3) - サンセイの取締役会評価期間の開始

サンセイと光通信の攻防について、次の記事のとおり光通信がサンセイより追加情報を受領したことを書きました。 本日11月26日にサンセイは取締役会評価期間の検討を開始したことを公表しました。前回のブログでも書いたように、取締役役会で対抗措置の発…

エムビーエス(1401)が建設コンサル大手のパシフィックコンサルタンツと5度目の業務提携を更新

国土強靭化関連銘柄の1つにエムビーエス(1401)があります。独自研磨法と特殊コーティングでの外装リフォーム会社で、直近のブログは次のとおりです。 同社はスケルトン工法という技術を用いて、トンネルや高速道路の強化を行う事業を行っている小型銘…

買収防衛策の導入・継続に向けて③ - 国内機関投資家の賛成確保に向けての進め方

本日は買収防衛策の導入・継続に向けての第3回目になります。前回は、買収防衛策の導入には株主総会の承認(普通決議)が必要になるところ、外国人株主の賛成は期待できないため、「国内機関投資家の賛成を得ることが肝」ということを書きました。前回の内…

ストラテジックキャピタルによるTOBに対して京阪神ビルは反対を表明

アクティビストのストラテジックキャピタルが京阪神ビルディングに対してTOBをしかけており、前にブログで、政策保有株主はこのTOBに応募しない場合には合理的な理由を準備しておく必要があることを次のとおり書いております、 本日の日経新聞によれば…

サンセイ(5307)と光通信の攻防(2)- 光通信が追加情報をサンセイに提供

サンセイと光通信の攻防について、先日次のとおりブログに掲載したように11月10日にサンセイは光通信に必要情報の追加提供を要請しています。 これに対して、11月17日にサンセイは光通信から追加情報リストに対する回答書を受け取ったことを公表しま…

コーポレートガバナンス・コードの改訂に向けた議論 - 金融庁のフォローアップ会議が11/18に開催されました

コーポレートガバナンス・コードの改訂に向けた金融庁のフォローアップ会議が昨日開催されました。その前は10月20日に開催され、その時の内容は前に次のとおりブログで紹介させていただきました。 昨日の会議では、前回の会議での各委員からの意見と今後…

買収防衛策の導入・継続に向けて②- まずは自社の株主構成を見る

前回、買収防衛策の導入・継続に向けての第1回ということで、議決権行使助言会社であるISSの買収防衛策の議決権行使基準について、次のとおり紹介しました。 来年の定時株主総会の時期も近づいてきましたので、来年に買収防衛策の更新期限を迎える企業、…