中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

2019-01-01から1年間の記事一覧

オフィス市場の今後の動向-空室率と平均賃料が見るべきポイント

先日、ある銘柄を購入したのですが、この銘柄の業績は日本国内のビルやホテル需要の影響を受けるため、あらためてオフィス市場について少し調べてみました。当面好調という認識でいたのですが、その方向のとおりです。詳細は次のとおりです。 以下は、外部の…

買収防衛策は全ての局面に適用できるものではない-はじめて導入を検討する上場企業は理解する必要があります

買収防衛策を廃止する企業が増えています。最近の世の中の動きを見ると、安定株主ががっちり株式を保有している会社を除き、買収防衛策導入企業は、ますます少なくなる方向なのだろうと思います。 その理由はとてもシンプルで機関投資家に資金の運用を委託し…

敵対的買収の増加の中での企業の対応策-準安定株主の確保が今後の肝

12月14日の日本経済新聞でも報道されていましたが、HOYAが東芝子会社であるニューフレアテクノロジー(6256)に対するTOB(株式公開買付)を実施することを12月13日に発表しました。 東芝はニューフレアへのTOBを11月に発表しており…

コクヨによるTOBの結果が公表-50%株式を取得することの意味&ぺんてるの現個人株主は今後最大の利益が享受できるのでは

コクヨによるぺんてるに対するTOBの結果が公表され、ぺんてる株主から株式を買い取る売買契約が済んだ株式が議決権比率で45.66%になったようです。50%に届いていません。 ところで50%に届くことの意味は理解されていますでしょうか? 「そんなの…

三菱重工業が事業選択の財務指標を設定-事業ポートフォリオの選択はなぜ必要か?

12月11日の日本経済新聞で三菱重工業が事業継続の判断基準とする財務指標に総資産回転率とROAを使用するという記事がありました。総資産回転率が1倍以上であること、ROA6%以上であることが基準ということです。 ROAは、総資産利益率で次の内容に通常…

半導体製造装置の2019年7月から9月の出荷額が公表

12月5日に国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が2019年7月から9月の期間の半導体製造措置の出荷額を公表しました。 前年同期比の6%減ということです。ただし、2019年4月から6月と比べた場合は、12%増とのことで、また2019年4月…

上場子会社の社員は自社の上場廃止に備えて自分のキャリアを真剣に考える必要あり

11月29日に東証が「上場子会社のガバナンスの向上等に関する上場制度の整備について」を公表しました。主な内容は次の点です。 独立役員の独立性に関する判断基準に、過去10年以内に親会社または兄弟会社に所属していた者でない旨を追加する 上場子会…

「ぺんてるの執行役員が敵対的買収へ反対」の意見表明の意味するところ

ぺんてるが敵対的買収について、自社の株主宛に12月1日に次のようなメッセージを公表しました。 「株主の皆様へ(12月1日) 私たちは執行役員として当社の子会社化に強く反対いたします。私たちは、この度のコクヨ株式会社による当社の子会社化に、ぺんて…

ぺんてるが公開買付価格を変更(3,700円→4,200円)-ぺんてるの株主が保有継続するインセンティブはどこにある?

ぺんてるが公開買付価格について2度目の変更をしました。前回の3,700円から500円アップとなります。 11月30日の日経新聞でも記事が掲載されていました。ぺんてるの株主で売却の判断に迷う方に売却を促す目的での買付価格のアップですね。ぺんて…

コクヨがぺんてるの経営陣刷新の意向を公表-今後が面白い

11月26日の日経新聞でコクヨ社長の黒田社長が敵対的買収後にぺんてるの経営陣を刷新する(入れ替える)考えと書かれていました。 私がブログで経営陣はクビにする意向であろうと書いていましたが、当然と言えば当然のことかと思います。 一方で、従業員…

投資家との対話の充実の動き-サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会

11月22日に経産省がサステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会を新たに設置することを公表しました。 第1回検討会は11月26日(火)に開催されます。この検討会で議論・検討が予定されている事項、論点は次のとおりになります(経産省の…

「コクヨがぺんてるに対する公開買付価格を3,750円にあげました(3,500円→3,750円)」がその理由の開示文が個人的には意味不明

コクヨがぺんてるに対する敵対的買収を開始したことは報道のとおりですが、11月20日にコクヨが公開買付価格を3,750円に変更しました。 この背景は、プラスが名乗りをあげてきたことによるものですが、コクヨのプレスリリースに買付条件の変更の理由…

東証上場区分の動きを踏まえての個人投資家の投資銘柄のスクリーニング

昨日の日経新聞に東証の上場企業の見直しの記事が記載されていました。東証の上場基準は、金融庁の金融審議会で議論されており、11月20日の第5回の審議会の結果の内容が、本日の日経新聞で報道されたということになります(金融審議会の議事録も後日、…

コクヨがぺんてるの敵対的買収の検討を公表

11月16日の日経新聞で大きく報道されていましたが、文具メーカーのコクヨが筆記具メーカーのぺんてるを敵対的買収することを発表しました。 11月15日にコクヨがプレスリリースしており、それによると、1株3,500円で11月15日から12月15…

議決権行使助言会社に対する米SECの規制の動き

買収防衛策について記載しようと思っているのですが、業務がかなり多忙であるためと、業務終了後は、自宅で投資先銘柄と今後の投資候補銘柄の第2四半期決算短信の分析にかなり時間がとられ、じっくり買収防衛策を記載する時間がないので、また別の機会に記…

長期株式投資テーマとしての科学技術予測調査

先日の日本経済新聞に文部科学省の科学技術・学術政策研究所がまとめた未来技術のテーマが公表されていました。 2040年の未来像を描き、約700の科学技術が普及する時期を分析しています。ちなみに、この調査は1971年から実施されており、最近は5…

米国の10月の雇用統計の発表

買収防衛策の記事がまだ纏めきれていないため、最近のマクロ経済統計について今回はごく簡単に触れます。11月1日に米労働省が10月の雇用統計を発表しました。 非農業部門の就業者数は前月比で12万8千人増加。市場予測は9万人増であったところ、これ…

良く分かる外資規制強化の動き

最近頻繁に新聞報道がされている外資規制ですが、投資比率を1%まで政府は引き下げる方向ということですが、10月26日の日本経済新聞で事前届出の対象企業を明確にする方向であるとの報道がありました。 外資規制ですが、以前にもブログで書いたことがあ…

再生可能エネルギーの発電容量についてIEA予測が公表

10月22日の日本経済新聞で、国際エネルギー機関(IEA)が10月21日に世界の再生可能エネルギーの発電容量を公表したことについて書かれています。新聞報道の内容は、次のとおりです。 2014年の世界の再生エネルギーは2018年比で5割増 再…

東証の上場市場再編の検討が再開

先日の日本経済新聞で「東証、上場市場再編へ」との記事があり、金融庁が上場市場再編の検討を開始したということです。 上場問題は当初は東証が検討していたが、事情により金融庁が引き受けることになったものの(要するに利害関係者から様々な意見があり東…

IMFが2019年予想で世界成長率を3.0%に下げー内需のみが期待できるか

先日の日本経済新聞に2019年10月15日に国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しで2019年の成長率を3.0%と予測し、7月時点から0.2ポイント下方修正したとの報道がありました。 金融危機直後の2009年以来、10年ぶりの低い伸び率となっ…

株式投資テーマ:法令翻訳関連

10月7日の日本経済新聞に日本の法令の英訳が遅れていることが書かれていました。内容を纏めると次のとおりです。 日本政府が法令の英訳に着手して10年経過するが、翻訳が完了した法律は全体の1割にとどまる 日本は、法令が制定・改廃されてから、英訳…

スチュワードシップ・コードの改訂に向けた動き-スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会が開催(2019年9月25日)

9月25日に金融庁がスチュワードシップ・コードに関する有識者検討会を開催することを公表しました。2017年に改訂されたスチュワードシップ・コードの改訂に向けての検討になります。 スチュワードシップ・コードとは、機関投資家がスチュワードシップ…

米国の製造業景況感指数(9月)

9月の米製造業景況感指数が10月1日に公表さました。新聞報道等を纏めますと次のような内容です。 指数は47.8で、10年3ヵ月ぶりの低い水準。好不況の境である50を2ヵ月連連続で下回り、不況といえる ISMを構成する項目の中では、新規受注の落ち…

株式投資テーマ:民泊需要について

今回は民泊について書きます。 政府は訪日外国人を2020年に4,000万人、2030年に6,000万人を予定しており、来年の東京オリンピックもあり、訪日外国人は増えますがこれに絡んだテーマの1つが民泊です。 約半年前に、民泊関連銘柄に投資しよ…

日本の外資規制の強化の動き

先日の日経新聞で先端技術を巡る規制合戦ということで、対米外国投資委員会(CFIUS(「シフィウス」と読みます))について掲載がありましたが、日本の外資規制については、9月26日付で外為法で規定する対内直接投資等に該当する行為の見直しがされ、20…

世界の半導体製造装置の2020年の販売額見通しの引き下げ

9月19日の日経新聞に掲載されていましたが、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が半導体製造措置の2020年の販売額見通しを7月時点の予想から引き下げました。 <7月時予想>前年比 +12% → <今回予想> 前年比+7% 半導体は関係企業の1Qの決…

ソニーの「株主そして多様なステークホルダーの皆様へ向けたCEOレターの発信について」を読んで

本日の日経新聞で物言う株主が大きく増加していることが報道されていました。 物言う株主であるサードポイントのソニーに対する半導体事業の分離・上場の提案に対して、ソニーが拒否したことが9月18日の日経新聞に掲載されていました。 ソニーは、半導体…

ブーン・ピケンズと小糸製作所の攻防-「ブーン社による株式問題」を読んで

米著名投資家ブーン・ピケンズ氏が9月11日に死去したことが日経新聞で掲載されていました。 ピケンズは、1980年代終わりにトヨタ系自動車部品メーカーの小糸製作所の株式取得を通じ、株主の権利重視を主張して有名となった方です。 保有有株式の影響…

企業の研究開発費-売上高比率で見ると

9月14日の日経新聞に日本企業の研究開発費についての記事が掲載されていました。日本の主要企業の研究開発費の86.7%は製造業であるが、米国は製造業は約7割で、3割は情報通信等の非製造業であるということです。 つまり、日本の主要企業の研究開発…