中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

株式投資テーマ:法令翻訳関連

10月7日の日本経済新聞に日本の法令の英訳が遅れていることが書かれていました。内容を纏めると次のとおりです。

  • 日本政府が法令の英訳に着手して10年経過するが、翻訳が完了した法律は全体の1割にとどまる
  • 日本は、法令が制定・改廃されてから、英訳公開までの期間は平均3年以上と遅れている
  • 政府は年内にも官民の有識者会議を開催し、法令情報をタイムリーに提供し、国際発信を強化する
  • 法務省は2020年度に職員を海外に派遣し、迅速な翻訳技術やデータベースの仕組みの取得に乗り出す

お隣の韓国には、韓国法制研究院という政府の研究機関があり、アジアで先行して翻訳作業を開始しているようです。対韓投資を促すために海外投資家に韓国の法令情報を提供するのが目的で、9割以上の法律が翻訳されているとのことです。副院長の話では、法令成立から3ヵ月以内の英訳が基本のようです。日本では3年のところ韓国では3ヵ月ということで、英訳に対する取り組みに大きな開きがあるようです。

私は業務で役員会資料の英訳やプレスリリースの英文版を作成する時に法令の正式な文言を探して苦労するときがあります。

所詮社内資料であったり、また、英文プレスであってもディスクレーマー(日本文を「正」とする旨)を付すので、最悪間違えてもよいという考えもありますが、作成する以上は、可能な限り用語の正確性は期したいという思いがあります。

日本の株式市場をグローバルマーケットにするにはどうしても英文情報の開示が必要です。短期投資家ではなく、中長期的な視点で投資する投資家を日本の株式市場に呼び込みたいのであれば、決算短信や決算説明資料の英訳だけでなく、ベースとなる法令の英訳も望まれるのは当然のことと思います。このため、法令の翻訳関連は今後の株式投資テーマとして有力と思います。

政府は、前述のとおり年内にも有識者会議を開く方向のようですので、会議の様子は公表される資料内容をウォッチし、翻訳関連銘柄のスクリーニングしていきたいと思います。