中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

2019-01-01から1年間の記事一覧

「『なでしこ銘柄』の選定が始まります」が何のため?

先日、経産省がホームページで、なでしこ銘柄の選定の本年度の取り組みについて公表しました。経産省は、東証と共同で女性活躍推進に優れた企業を「なでしこ銘柄」として選定する取組を、2012年度から実施しています。 本年は、女性活躍推進に積極的に取…

eスポーツの将来成長の可能性(2022年には約3,300億円の市場規模)

前回のブログでeスポーツについて少し触れましたが、先日の週末にeスポーツについて色々とデータを収集しました。 ゴールドマンサックマン証券のレポート、デロイトトーマツ、KMPGのレポートなどですべて公開情報ですが、これらの情報を纏めると次のような内…

「中国企業の海外M&Aは縮小」しないのでは?

先日の日本経済新聞の報道によると、中国企業の海外M&Aが縮小しているということで、2019年1-6月は前年同期比で△42%とのことです。 2016年上期の2割未満の水準まで落ち込んだということで、その背景には、欧米当局が中国企業のM&A審査を厳し…

経済産業省が「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」を今後開催

8月30日に経産省が「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」を開催することを公表しました。 以下は、経産省の公表分からの抜粋の要約です。 世界各国で盛り上がりを見せている「eスポーツ」(electronic sports)は、近年、国内においても…

2020年度予算に対する概算要求の内容-今後の投資銘柄選定の材料

8月30日に2020年度予算に対する各省庁の概算要求が締め切られ、要求総額は2019年度当初予算比で+3%で105兆円(過去最大)ということです。 財務省は9月から要求に対する査定を開始するようですが、今後の株式投資の銘柄選定の上でも気にな…

個人投資家の株主総会の参加が容易になる方向-経産省が研究会を設置

8月17日の日本経済新聞で、株主総会にインターネットで出席できるように経済産業省が指針を作るとの指針が公表されましたが、これに関して、8月26日に経済産業省が「第1回 新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」を開催しました。 この研究会の第1…

味の素がROA8%を目指す

昨日の日本経済新聞で味の素が2023年3月期にROA8%を目指すとの記事がありました。 事業毎にROAを精査し、今期を目途に一部事業の廃止・撤退を決定するとのことです。それぞれの事業のROAは7-13%に設定しているようです。 ROAとは、資産を使って…

ICGNの年次総会が2019年7月16日~18日に東京で開催

ICGNの年次総会が2019年7月16日~18日に東京で開催されました。 テーマは「持続的な企業価値向上のためのコーポレート・ガバナンスの再検討」で、機関投資家を中心に27ヵ国から約500名が参加した模様です。ICGN(International Corporate Gove…

日米欧の主要企業の社外取締役報酬-日本は約1400万円

8月16日の日本経済新聞に社外取締役の報酬の記事がありました。米国コンサルティング会社のウイルス・タワーズワトソンが日米欧5ヵ国の主要企業の社外取締役について、2018年度の調査結果を公表したということで次のような内容となっています。 米国…

日興アセットマネジメントの投資先企業への議決権行使結果の個別開示-買収防衛策議案について

日興アセットマネジメントが2018年7月から2019年6月末までの1年間における投資先企業2,287社の株主総会の議案に対する議決権行使結果結果を開示しました。 買収防衛策議案に対しては、賛成1件で反対72件とのことで、議案の反対率は98.6…

ゼネコン各社の2019年4-6月期決算纏めと今後の見通し

以前にゼネコン数社の決算を紹介しましたが、残りの主なゼネコンの2020年3月期の第1四半期の決算が出揃いましたので、紹介します。 以下は前年同期からの増減になります。また、括弧の数値は今期の予想数値に対する進捗達成率を示します。 売上高 営業…

三井住友アセットマネジメントが議決権行使結果の個別開示

三井住友アセットマネジメントが2018年7月から2019年6月の間の投資先企業の株主総会の議決権行使結果の個別開示をしました。 買収防衛策については、67件中、賛成は5件です。賛成した銘柄は、亀田製菓(2270)、アネスト岩田(6381)、…

パスコ(9232)の2020年3月期の1Q決算

8月7日にパスコ(9232)が四半期決算を発表しました。同社はセコム傘下の航空測量大手です。東京五輪で渋滞緩和関連銘柄として名前があがったりしています。 前年同期比では次のとおりです。 売上高 +8.3% 営業利益 △724百万円(前年同期 △1,…

政策保有株式の保有検証の開示例-川崎汽船と大和証券グループ

8月6日の日本経済新聞で、政策保有株式の保有の合理性の検証について、2019年3月期の有価証券報告書(有報)で踏み切んだ開示がされている会社例として、川崎汽船と大和証券グループ本社が紹介されていました。 各社の有報を見たので、開示例を紹介し…

ゼネコンの2020年3月期1Qの業績-大成建設

決算情報に大成建設が漏れておりましたが、8月5日に大成建設が2020年3月期の第1四半期決算(1Q)を公表しておりました。 FY19.1Q(対FY18.1Q) 売上高 +9.9%、営業利益 +69.5% FY19通期予想(対FY18) 売上高 +5.4%…

ゼネコンの2020年3月期1Qの業績-西松建設、清水建設

ゼネコンはアクティビストが最近狙っている業界の1つで(政策保有株式を含めたキャッシュリッチ業界のため)、アクティビストの強い攻撃により、ゼネコン各社が政策保有株式を売却して、株主還元を増やすであろうことが投資家から期待されています。 さて、…

個人投資家の株式の買いのタイミング - 通期予想に比べて第1四半期業績進捗達成率の視点

7月31日の日本経済新聞で業績進捗率の記事がありましたので、本日は、これについて紹介します。 業績進捗率とは、通期の業績見通しに対して、各四半期の業績実績の進捗がどの程度であるのかということです。 仮にある企業の通期の売上高予想が100億円…

クニミネ工業(5388)の2020年3月期1Q決算-業績進捗率は売上高22%、純利益19%

7月31日にクニミネ工業(5388)が2020年3月期の1Qの決算発表をしております。次のような内容です。ちなみにクニミネ企業は、PBR1倍以下で政策保有株式が潤沢な中小型銘柄です。 <19年3月期1Qとの対比> 売上高 + 9.5%(3,531百万…

住友金属鉱山が議決権行使助言会社ISSの反対推奨に対して反論を掲載

2019年6月の定時株主総会で住友金属鉱山は買収防衛策を株主総会で承認可決しております。 これに先立ち、同社の定時株主総会の買収防衛策議案に対して、ISSは2019年5月28日に反対推奨をしており、これに対して、住友金属鉱山は、翌日の5月29…

ユビテック(6662)が2019年6月期の業績予想を下方修正

ユビテック(6662)はカーシェア用車載機器とATM紙幣鑑別センサーが柱の時価総額40億円程度の銘柄です。IoTに注力しており、顔認証というテーマで、かつ低位株のため、将来に期待して4月頃に購入しました。 同社は6月期決算ですが、7月26日…

野村アセットマネジメントの議決権行使結果の個別開示-買収防衛策廃止の株主提案への賛成(共同印刷)

野村アセットマネジメント(以下「野村」)が2019年4月から6月に開催された投資先企業の株主総会の議決権行使結果を開示しています。 買収防衛策継続議案ですが、66件中、賛成は0件です(開示資料上は1件とあります。しかし、これは期中で廃止する…

世界経済の成長率が減速-IMFが2019年の成長率予測を引き下げ

7月24日の日本経済新聞に国際通貨基金(IMF)が7月23日に改定した世界経済見通しで2019年の成長率予測について公表しています。 世界成長率 (従来)3.3% → (今回)3.2%(-0.1%) 下方修正は4期連続となっていおり、3%を切る…

買収防衛策の正当性のより所となる「買収防衛策に関する指針」(経産省・法務省が2005年5月に策定)の内容について

本年6月の定時株主総会も終わり、上場各社の議案賛成率も臨時報告書でひととおり開示されました。各社、コーポレートガバナンス・コードの要請に従い、反対率の高い議案の精査などをされているところかと思います。 買収防衛策議案は本年は昨年以上に廃止し…

M&A減損が世界で拡大-買収金額の高騰

M&Aに絡むのれんの減損損失が拡大との記事が7月19日の日本経済新聞に掲載されています。2018年度は1,550億ドル(約16兆円)と前年度比で66%増とのことです。 のれんとは、超過収益力をいます。例えば、純資産が100億円の会社を150…

香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメント・カンパニーと安藤ハザマの攻防②-オアシスの株主提案の印象

本年6月27日開催の安藤ハザマの定時株主総会においてオアシスが株主提案をしました。内容は次のとおりで、定款第3条に次のように安全衛生管理の徹底の規定を新設することを求めるものです。 (安全衛生管理の徹底) 第3条 当会社においては、「安全はす…

香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメント・カンパニーと安藤ハザマの攻防①-潤沢な政策保有株式の保有

香港の投資ファンドであるアクティビストのオアシス・マネジメント・カンパニーが安藤ハザマの株式を取得していることは先日のブログで紹介しましたが、本日は、オアシスが注目しているであろうと想像する安藤ハザマのコーポレートガバナンス上の課題につい…

半導体の今後の予測は?-SEMIによる2019年の販売見通しは18%減

新聞でも報道されていましたが、半導体製造装置の減速が鮮明のようです。 7月9日に国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が2019年の半導体製造装置の販売額見通しを公表していますが、2019年の半導体装置の販売額は527億ドル(約5兆7千億円)と…

戸田建設と英国の投資ファンドであるシルチェスターの攻防の行方~買収防衛策の発動の可能性

今回は、私も株主である安藤ハザマのコーポレート・ガバナンスの観点からの課題(政策保有株式)を記載する予定でしたが、少し分量が多くなり、文章を作るのに結構時間がかかるので、週末に考えるとして、前回、少し触れたシルチェスターと戸田建設の買収防…

準大手ゼネコン各社のキャッシュの潤沢度合い-アクティビストに狙われる背景

少し前の週刊ダイヤモンドの記事にありましたが、ドメスティック業界の代表格である建設業界にアクティビストが入っています。 英国の投資ファンドであるシルチェスター・インベストメントが戸田建設、前田道路、奥村組に、香港の投資ファンドであるオアシス…

多角化事業を行う上場企業の事業ポートフォリオマネジメントのあり方~経産省「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」より

先日、経産省の「グループ・ガバナンス・システムの実務指針」(ガイドライン)が制定されたことを紹介しました。 今回は、このガイドラインの中で規定されている事業ポートフォリオマネジメントのあり方について紹介したいと思います。 ガイドラインでは、…