中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

コーポレートガバナンス

男性育休率の積極的な開示 ー 数字の開示と併せて企業が考えるべき大事なことは?

私が中長期で投資するある中小型銘柄があるのですが、この企業にはここ2年、最近のコーポレートガバナンスの動向を踏まえて積極的な提案や質問をIR部門にしているのですが、その影響もあってかどうかは分かりませんが、この企業の開示がこの1年でかなり…

経営トップの報酬の業績連動部分 ー 機関投資家の満足する割合は?

本日は祝日ですが、2月は仕事が多忙のため、本日は平日に全く出来ていなかった雑務の業務をさばいています。本業に直接関係のない社内雑務って結構ありますが、最近この手の社内雑務への意識が著しく低下し、近い将来の副業に直結する知識習得・経験蓄積(…

非財務情報としての人的資本の考え方 ー 機関投資家が注目している大事なことは?

中長期での投資を志向する機関投資家にとって企業の非財務情報は関心の高いところかと思いますが、その中での最近のホットな話題の1つに人的資本があります。内閣官房が人的資本可視化指針を公表しているところでもあります。 これを受けて企業は人的資本の…

キューピーが事前警告型の買収防衛策を非継続

銀行、証券会社は30日まで仕事の方も多いと思いますが、それ以外の業種の方は本日が仕事納めという方も多いのではないでしょうか。私の場合は本日が仕事納めです。年末の社内の忘年会もこの数年開催しておらず(会社の方針です)、社外の方も交えてのオフ…

損保が政策保有株式の売却を加速 ー 政策保有株式は何故だめなのか?

本日は四季報オンラインデータが新春号に更新されました。本日から週末にかけて、時間を見つけては、各銘柄の四季報データを読み込む予定です。中小型銘柄の場合、IRの情報開示が十分でない企業が多いので、四季報データの最新内容を把握し、決算説明会資…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第15回)ー社外取との面談の要請

今週の日経ビジネスに「ボード3.0の時代」というタイトルの記事がありました。社外取の役割を再考するということです。社外取に求める役割も変化していますね。 今回は、第15回ということで、社外取との面談要請について書いてみたいと思います。前回の第…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第14回) ー 取締役会の実効性評価の大事な点は?

昨日の日経新聞に投資ファンドの3Dインベストメントがサッポロホールディングスの社外取に改革主導を果たすことを求める書簡を送付したとの記事がありました。社外取と投資家との面談はコーポレートガバナンスの流れに沿ったものでありますので、何ら違和…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第14回) ー 取締役会の実効性評価。投資家の満足する手法は?

本日は、久しぶりに物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方を書きたいと思います。前回、第13回を書いてからだいぶ日が空いてしまいましたが(参考までに前回と前々回を最後に再掲しています!)、11月に入り…

政策保有株式の縮減は企業にとって困るのでしょうか?

10月16日の日本経済新聞に政策保有株式に関して次の記事が掲載されていました。 政策保有株の売却2.3兆円、東証再編で最大に 22年3月期: 日本経済新聞 2018年のコーポレートガバナンス・コードの改訂により、上場企業各社では政策保有株式の縮減が進…

社外取締役のメッセージの発信はどういう態様が良いでしょうか?

本日はブログの文字の形態を変えてみました。他の方のブログを見ると、太字に黄色やピンクのハイライトが付されており、見やすいなと前から思っていたので、ネットでやり方を調べて変えてみました。これまでは、強調すべき箇所は太字だけでしたが、太字の箇…

社外取締役からのメッセージを機関投資家は期待しています!

先日、敵対的買収における社外取締役(以下、社外取といいます)の役割について書きましたが、今回も引き続き、社外取について書きたいと思います。 その前に1つ。「ブログの文章をがかたいですね」「専門的な知識がないと難しいところが時々ある」という指…

敵対的買収において社外取締役の持つべき視点

昨日の日経新聞朝刊の社説に「企業は敵対的買収から逃げず価値向上」というタイトルの次の記事が掲載されていました。 [社説]企業は敵対的買収から逃げず価値向上を: 日本経済新聞 最近は敵対的買収の案件が増えており、新聞記事にも書かれているとおり経…

中小型株の上場企業の企業統治の規律 ー 個人投資家の出番です!

本日は、経済産業省が本年7月19日に公表した改訂CGSガイドラインを読み込みました。多くの企業の来年6月の定時株主総会での株主提案を考え、9月はアクティビスト(物言う株主)が株式を取得する時期かと思います。そして、10月以降は、投資先企業…

「中小型株に仕込みの秋」 ー 時価総額1000億円以下の企業は万一に備える必要あります

今週は連日忙しく、ブログの記事の十分な更新ができませんでした。経産省のCGSガイドラインのポイント解説と事前警告型の買収防衛策を廃止する際のポイントの続きの記事を書く予定でしたが、投資先企業のIR部門とのメール交信での質疑応答で時間がとら…

物言う株主(アクティビスト)の武器 ー コーポレートガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)のポイント

昨日は、経済産業省が7月19日に公表したコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)について、某オンラインセミナーでの経済産業省の産業組織課長の説明資料と旬刊商事法務に記載の課長補佐クラスの方の解説記事を読みました…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第13回) ー 前回からの続き。企業は何をすればよいか?

前回の第12回で、コーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」)は順守すること(=コンプライ)が必須ではなく、コンプライしない場合には、その理由を説明すること(=エクスプレイン)でもOKなのですが、世の中の多くの上場企業は、何故か「…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第12回) ー 本当にコンプライ出来ているか?

1週間の夏季休暇も明日で終わり、月曜日から仕事に復帰です。火曜日から木曜日まで旅行をしており、旅行中も時間を見て新聞や読書をしようと思いましたが、株価をスマホで確認する程度で終わりました。移動が車であり、そもそも旅先で新聞や読書をするなど…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第11回) ー 中期経営計画が未達の場合に株主は何が言えるか?

今回からコーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」といいます)の第4章「取締役会の責務等」について個別論点の解説に入りたいと思います。CGコードでは、取締役会の役割として企業戦略等の大きな方向性を示すことが求められています。 では、…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第10回) ー 取締役会関係は株主にとって「材料の宝庫」です

先日、三ツ星の有事導入型の買収防衛策に基づく対抗措置の差し止めが最高裁でも認められましたね、つまり投資ファンド側が勝訴したということです。事前警告型の買収防衛策を廃止して有事導入型を検討する企業は、有事導入型がどういう場合に使えるのか、つ…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第9回) ー 非財務情報とは何?

石野雄一氏の「道具としてのファイナンス」をご存じの方は多いかと多います。2005年に出版されたコーポレートファイナンスの実務の基礎について書かれた本ですが、この度、増補改訂版が出るようですね。発売が8月8日のようです。早速、昨夜、アマゾン…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第7回)(追加) ー 有事導入型買収防衛策に対する個人投資家の判断ポイントは

7月2日に有事導入型買収防衛策(以下、有事導入型と略します)について記事を書きましたが(最後に再掲しています)、本日、読み直したところ、何故か、企業としてどうすべきかという結論で終わっていました。 このシリーズは、個人投資家がコーポレートガ…

政策保有株式の縮減 ー 保有金額が高いと株主総会で経営トップへの反対増のリスク

7月22日の日経新聞に政策保有株式の縮減について、次の記事が掲載されていました。 政策保有株、三菱商事は58銘柄減 資本コストを意識: 日本経済新聞 三菱商事などの総合商社が政策保有株式の縮減を進めているという内容の記事です。ブログでも何度か記事…

コーポレートガバナンス・コードの制定の狙い ー 「日本再興戦略」改訂2014より

コーポレートガバナンス・コードの制定は2015年で、2018年と2021年にそれぞれ改訂がされています。今現在は制定から7年が経過しており、昨年の改訂を担当した上場企業各社の担当者や責任者は、2015年の制定時には関与していなかったという…

政策保有削減の状況の総会招集通知への記載 ー 「記載効果のある企業」のみが記載すればよいです

6月25日の日本経済新聞に次の記事が掲載されていました。 〈株主総会2022〉政策保有株削減の状況、総会前開示が3割に拡大: 日本経済新聞 企業が政策保有株式の縮減の状況や方針を株主総会の招集通知に記載する動きが広がっているということです。この狙い…

人材版伊藤レポート2.0(案)が公表

本日は1週間に1回の在宅での仕事の日です。色々と資料をプリントアウトして自宅に持ち帰りました。IR部門と一緒に統合報告書の骨格作りをしているので、本日は、社外取締役インタビュー(最近、これを記載する企業が多いです)などの骨子を考える作業に…

取締役会議長が社外取で機能するのか?

本日は1週間に1回の在宅勤務日です。本日は株価の動きを見ながら、インプット中心の仕事に励む予定です。株式の買い増しをしたいのですが、ウクライナ情勢が読めない中、なかなか踏み込めない状況が続きます。 3月9日の日経新聞によれば、東証プライム企…

社外取締役の多い企業では社外取の意見や果たした役割の具体的な開示が重要

統合報告書を作成する企業も多いかと思いますが、それに関して最近思うところが1つあります。東証のプライム市場の企業には、社外取3分の1以上が求められていることもあり、社外取を増やす企業がだいぶ増えているところですが、ひとまず増員することで安…

人権デューデリの指針策定 ー 欧米企業との取引の大きい企業は人権リスクに要注意

2月15日の日経新聞に「人権侵害防止 企業に指針」というタイトルで次の記事が掲載されています。 人権侵害防止、企業に指針: 日本経済新聞 内容は、政府は人権デューデリジェンス(人権DD)の指針を策定する予定とのことです。人権はESGの中のS(社…

「経営者の去り際に説明責任」ー 辞任だけでなく、短期間での任期満了退任の場合にも説明責任があると思います

2月8日の日経新聞に「経営者の去り際に説明責任」というタイトルで次の記事がありました。 経営者の去り際に説明責任: 日本経済新聞 国内外で経営陣が辞任する場合に、「合意に基づき退社」「一身上の都合により辞任」といった理由が簡単に書いてあるケー…

プライム市場で社外取締役3分の1以上は本当に必要か? ー GMOインターネットの2018年株主総会での社長意見が参考になります

今回の東証上場区分でスタンダート市場を選択した企業も多いかと思いますが、個人的には、とても賢明な選択をされた会社もその中にはあるのだと思います。プライドのためにプライム市場を選択した企業も多く(プライドとプライムは日本語が似てますね)、そ…