中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

コーポレートガバナンスとは?ー目指すところは何でしょうか

上場企業で働く方であればコーポレートガバナンスという言葉は社内でも耳にするかと思います。けど、コーポレートガバナンスの意味、というか趣旨は、ほとんどの方が理解していなのでは?と思います。社内の財務部門やIR部門の方なども本質的なところは分かっていないのが私の実務感覚です。そこで、個人株主の方にも分かりやすく説明をしてみたいと思います。
まずコーポレートガバナンスといえば日本では2015年に東証コーポレートガバナンス・コード(ガバナンスコード)を制定しました。東証が制定はしたのですが、実質は金融庁が策定したといってよいかと思います。このコーポレートガバナンス・コードは2018年、2021年に改訂がされております(ちなみに私は2015年の制定時から事業会社にて、コーポレートガバナンス・コード対応や多くの機関投資家との対話の実務を担当しています)。
では、このコーポレートガバナンス・コードは、どういう目的で策定され、その目的をどうやって達成しようとしているのでしょうか?
当時問題であったのは、日本企業の収益性の低さです(今も海外企業と比較すると低いですが)。つまり、利益率が低い、結果、ROEが低い、このため株価が低い(低PBR)という状況にありました。営業利益率が低いというのが一番の元凶です。
日本企業は収益性が低い上に、少ない儲けも内部留保にまわし(バランスシートの繰越利益剰余金が増えるということです)、株主への還元も消極的でした。結果、金持ちの海外の機関投資家にしてみると「株主を大事にしない日本企業など投資しても無駄だからやめよう」という状況にあったのです。でも、東京を世界の金融市場の拠点にしたいと思っていた政府としては、海外の機関投資家ブラックロックなどが有名ですよね)が日本に投資をしてくれない困ってしまいます。そこで、コーポレートガバナンス・コードを策定して、日本の上場企業の意識を変えて、「稼ぐ力」を向上させようとなったっわけです。企業に沢山、お金儲けをして欲しいということですね。
海外ではコーポレートガバナンスというと、どちらかというと、経営トップの暴走を止めるという意味強いのですが(コンプライアンス的な意味ですね)、日本の場合は、稼ぐ力を高めるという視点であり、これが「攻めのガバナンス」とも言われています。纏めますと、コーポレートガバナンスの土台となるのは、コーポレートガバナンス・コードであり、このコードは日本の上場企業の稼ぐ力を向上させることを目的としているということです。ここまではご理解頂けたでしょうか?
では、その稼ぐ力をどういう手段で高めるのかということをコーポレートガバナンス・コードは考えているのでしょうか?これは次回説明をしたいと思います。