コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

コーポレートガバナンス・コードの制定の狙い ー 「日本再興戦略」改訂2014より

コーポレートガバナンス・コードの制定は2015年で、2018年と2021年にそれぞれ改訂がされています。今現在は制定から7年が経過しており、昨年の改訂を担当した上場企業各社の担当者や責任者は、2015年の制定時には関与していなかったという方もかなり多いと思います。

私も実はそうであり、2015年の制定当時に担当していた方と会話をすると深いところで自分の理解が足りていないなと思うときがたまにあり、制定のベースとなった2014年の日本再興戦略を先日、じっくりと読みました。

コーポレートガバナンス・コードを制定する狙いが明確に書かれています。「日本再興戦略」改訂2014の該当箇所を抜粋すると次のとおりです。

日本企業の生産性は欧米企業に比して低く、特にサービス業をはじめとする非製造業分野の低生産性は深刻で、これが日本経済全体の足を引っ張っている状況にある。また、グローバルな市場で戦っている産業・企業には、市場環境の変化への対応が遅れ、苦戦を強いられているケースも多い。第2次安倍内閣発足後のマクロ環境の改善により企業業績は回復しつつあるものの、競合するグローバル企業との比較では、未だ十分とは言い難い。サービス分野を含めて生産性の底上げを行い、我が国企業が厳しい国際競争に打ち勝って行くためには、大胆な事業再編を通じた選択と集中を断行し、将来性のある新規事業への進出や海外展開を促進することや情報化による経営革新を進めることで、グローバル・スタンダードの収益水準・生産性を達成していくことが求められている。企業の「稼ぐ力」の向上は、これからが正念場である

コーポレートガバナンスの強化) 日本企業の「稼ぐ力」、すなわち中長期的な収益性・生産性を高め、その果実を広く国民(家計)に均てんさせるには何が必要か。まずは、コーポレートガバナンスの強化により、経営者のマインドを変革し、グローバル水準の ROE の達成等を一つの目安に、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要である。特に、数年ぶりの好決算を実現した企業については、内部留保を貯め込むのではなく、新規の設備投資や、大胆な事業再編、M&A などに積極的に活用していくことが期待される。(途中省略)今後は、企業に対するコーポレートガバナンスを発揮させる環境を更に前進させ、企業の「稼ぐ力」の向上を具体的に進める段階に来た。これまでの取組を踏まえて、各企業が、社外取締役の積極的な活用を具体的に経営戦略の進化に結びつけていくとともに、長期的にどのような価値創造を行い、どのようにして「稼ぐ力」を強化してグローバル競争に打ち勝とうとしているのか、その方針を明確に指し示し、投資家との対
話を積極化していく必要がある。同時に、銀行、機関投資家等の我が国の金融を担う各プレーヤーが、長期的な価値創造と「稼ぐ力」の向上という大きな方向に向けて、それぞれが企業とよい意味での緊張関係を保ち、積極的な役割を果たしていく必要がある。

要するに日本の稼ぐ力を取り戻すという命題があり、コーポレートガバナンス・コードを制定したということです。この基本的なところが十分に理解できていないとコードの本質の理解は難しいと思いますので、読まれていない経営トップ、担当役員、担当者の方がいれば、一度該当箇所に目を通されることをおすすめします。