コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

株主還元向上だけでは株価は持続せず ー 資本政策の基本方針が大事ですね

本日は2週間ぶりの在宅勤務でした。人の目もないので、保有銘柄の周辺情報の整理、副業に向けた知識習得、仕事に関連する書籍の読み込みの3点に集中する予定でしたが、オンライン会議と資料作成に追われ、株価を見る余裕もなく一日が終わってしまいました。

そういえば、アイ・アールジャパンHDの株価が上昇していますね。役員のインサイダー疑惑の報道を受け、株価が約4500円程度あったのが1800円程度まで下落しましたが、本日の終値では2112円まで戻しています。物言う株主の増加を考えるとアイ・アールジャパンは今後も存在が必須な企業かと個人的には思います。

さて、本日は6月30日の日経新聞の記事を紹介いたします。

「株主還元ありき」にそっぽ 投資家、資本戦略を注視: 日本経済新聞

株主還元の引き上げだけでは株高は持続しにくいという内容です。たしかに株主還元をアナウンスすると株価は一時的に上昇するかと思います。けど、株主還元だけでは駄目ということですね。

株主還元をどうするかは企業の資本政策ですが、キャッシュフローの使途をどうするかに関連します。つまり成長か還元かですね。

中長期投資の投資家は、会社が事業に投資をして成長し、本業で儲けてくれるのを期待しています。キャッシュフローを成長投資にどう使うか、つまり設備投資、研究開発投資及びM&A等への使途はどうか、その上で余剰資金があれば、株主還元ということを期待しています。成長投資が本年度は少ないということであれば、株主還元を増やせということになるのだと思います。

一方、企業の開示を見ると未だに「安定配当を心がけます」「配当性向は30%です」「総還元性向は50%です」といった意味不明な開示が多く見られます。けど、これどでは物言う株主の恰好の材料です。キャッシュフローをどう配分するかの開示が大事です。

会社の成長への投資が明確でなければ、運転資本分を除いて、株主還元せよと主張されます。「M&Aに使います」などと開示で簡単に触れている企業もありますが、これは駄目ですね。どういう領域でどの程度のM&Aを実施するのか、また陣容はどうかなどの具体性が欠けています。配当についても、安定させる必要はなく、成長投資がない場合には、沢山還元せよということになるのだと思います。コーポレートガバナンス・コードで次の原則があります。

【原則1-3.資本政策の基本的な方針】 上場会社は、資本政策の動向が株主の利益に重要な影響を与え得ることを踏まえ、資本政策の基本的な方針について説明を行うべきである。

上場企業各社は、対物言う株主の視点で自社の資本戦略の開示を良く考えた方がよいかと思います。成長か還元かの方針を明確にするということです。