コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

「一律の株主還元と距離」 ー 距離をとった分は株価を上げなければなりません

7月13日の日経新聞で「一律の株主還元と距離」ということで、日証協会長のインタビュー記事がありました。一部抜粋すると次のとおりです。

1日付で就任した日本証券業協会の森田敏夫会長はアクティビスト(もの言う株主)への対応に関して「最近の傾向として一律に株主還元を求める株主がいる。企業によっては設備投資が必要な会社もあり、企業と投資家が向き合って議論することが重要だ」と述べた。東芝など多くの日本企業が対応を迫られているが、一律の株主還元拡大に距離を置く考えを示した。日本経済新聞などとのインタビューで語った。株主還元は上場企業の最重要課題のひとつだが、一律に増やすことが必ずしも企業価値の向上につながらないとの認識を示したものだ。

 この森田さんという方は、野村証券の元社長ですが、経歴を見ると国内の支店長経験が中心のようですね。国内営業、つまり、リテール畑(個人営業)の方で投資銀行業務の経験は乏しい(ない?)印象を受けます。

株主は短期であれ、中長期であれ経済的利益を目的に投資しているのであり、経済的利益はTSRの向上です。最近ではESGコストを誰が負担するのかという記事も時々新聞記事で見ます。ウォーレンバフェットは、ESGコストを株主に負担させるのはNGと言っています。ESG対応であっても、設備投資であっても株主還元を減少させるのであれば、経営トップは、株価向上にこれまで以上に目を向け、TSRを向上させることが必須になります。つまり、ESG対応や設備投資による株価上昇の明確なストーリーの開示が必須になります。このことを忘れると株価は下がるし、また、物言う株主は牙をむくことになります。