コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

ESG評価と役員報酬 ー アピールするのは良いですが、報酬全体でどの程度の割合を占めるの?

本日の日経新聞で「セブン&アイ、CO2排出量で役員報酬変動」ということで次の記事がありました。

次の内容です。

セブン&アイ・ホールディングスは、役員に支払う株式報酬を二酸化炭素(CO2)の削減目標の達成度合いで変動する方式を採用した。役員報酬の2割を占める株式報酬と連動させ、経営幹部の環境意識を高める。2022年2月期に支払われる分から適用し、中長期的な脱炭素目標の達成につなげる。

最近、役員報酬にこういったESG要素を役員報酬に連動させる企業も少しずつ増えています。2年ほど前にブログで記事にしたときには、報酬にESG目標を組み合わせる主な企業としてオムロンコニカミノルタ日本航空フェイスブックユニリーバ などがありました。今は更に増えているのだとは思います。当時のオムロンコニカミノルタのESG報酬の内容は次のような内容です。

オムロン業績連動部分の株式報酬は、中期経営計画に基づき設定した売上高、EPS、ROEの目標値に対する達成度、および第三者機関の調査に基づくサステナビリティ評価を組み入れる( サステナビリティ評価 Dow Jones Sustainability IndicesDJSI)に基づく評価。DJSIは長期的な株主価値向上の観点から、企業を経済・環境・社会の3つの側面で統合的に評価・選定するESGインデックス)

コニカミノルタ:執行役については、「固定報酬」の他、年度経営計画のグループ業績及び担当する事業業績を反映する「年度業績連動金銭報酬」と中期経営計画の業績達成度を反映するとともに中期の株主価値向上に連動する「中期業績連動株式報酬」で構成。年度業績目標は、業績に関わる重要な連結経営指標(営業利益・営業利益率・ROA等)とし、執行役の重点施策にはESG(環境・社会・ガバナンス)等の非財務指標に関わる取組みを含める

各社ともESGを報酬に絡めることで、ESGへの取組みを世間にアポールしたいのだと思いますが、問題はこのESG評価が報酬の全体割合でどの程度を占めるです。恐らくESGの評価が報酬に占める割合は非常に小さいのだと思います。セブン&アイ・ホールディングスも「役員報酬の2割を占める株式報酬と連動」とあるだけで、この2割の中のどの程度がESGのインパクトがあるのか不明です。

連動させていますといっても、報酬への影響割合が小さいのであれば、全く意味はないですよね。ということで投資家はこういう開示をしている企業には、しっかりと株主総会で質問をして比率を確認することをお薦めします。

個人投資家としての立場からは、ESG評価などを入れるより、TSR(株主総利回り)を役員報酬に入れて欲しいところです。上場企業の最大のステークホルダーである投資家は儲けるために株を買っているのであり、とすれば役員報酬も株価の値上がり等に連動させるのは当然かと思います。