中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

経営トップの報酬の業績連動部分 ー 機関投資家の満足する割合は?

本日は祝日ですが、2月は仕事が多忙のため、本日は平日に全く出来ていなかった雑務の業務をさばいています。本業に直接関係のない社内雑務って結構ありますが、最近この手の社内雑務への意識が著しく低下し、近い将来の副業に直結する知識習得・経験蓄積(=今の本業+本業から派生する事項)にしかほぼ関心がなくなり、社内雑務への手抜き感がはんぱないのですが、やっつけ仕事として、朝から陽気な洋楽を聴きながら取組んでいるところです。

 さて、先日の日経新聞に「社長報酬1億9000万円」との見出しの記事がありました。

 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2496L0U3A120C2000000/

人事コンサルのマーサジャパン調べのようです。売上高1兆円超の企業の社長報酬の平均とのこと。「結構、貰っているよね」と言う意見も多いと思いますが、一方、リッチな中小企業のオーナー企業の社長、東京都内の地主の方、開業医の方などと比べると、サラリーマン社長は節税対策もたいして出来ないし、自分の自由になる金も実際のところ多くなく(上場企業は社外取や株主の目が非常に厳しい)、サラリーマン社長には一般的には4年~5年と任期が決まっていることなどを考えると、税金が引かれた手取り額を考えると「売上高1兆円の大企業のトップでありながら、この程度の報酬ですか?」と思うオーナー企業の社長、地主の方なども多いとは思います。

個人的には、税引前とは言え、1億円の報酬を貰えるサラリーマンは非常に羨ましいところではありますが。まあ、サラリーが多いか少ないかの話はどうでもよいのですが、この経営トップ報酬の記事のポイントは、基本報酬が4割、残り6割が業績連動報酬ということです。

6割が業績連動というと、変動部分が多いかなと思うのが企業の多くの方の反応と思います。つまり、会社の業績が悪いとお給料が減るということです。けど、機関投資家はこの6割に納得しているかというと実は決してそうではないです。

機関投資家の儲けは投資先企業の株価に左右されます。株価が低迷して機関投資家が損をしているのに、社長の年収がそれに比例しないということに大変な不満を覚えるわけです。従って、業績や株価が低迷している企業が「当社の役員の報酬は業績連動がなんと6割もあるんですよ」 というと、「株価が低迷する中でたったの6割ですか。御社の場合、7割~9割に増やすべきでは?」という意見の機関投資家も中にはいるということです。統計で調べたわけではないですが、この考えを持つ機関投資家は多いかなと思います。役員の報酬制度設計が適切かどうかは、結局のところ、自社の株主・投資家が判断することですので、この点をあまり意識していなかった企業は、あらためて意識した方がよいかもしれません。