中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

東洋建設がTOB提案に関して特別委員会を設置 ー 敵対的買収でも企業は真摯に検討することが必要

昨年12月からツイッターを始めました。最初は情報収集の手段として利用していたのですが、本年1月中旬から投稿もはじめました。普段仕事をしていると会う人は、限られた範囲の社内の人たちばかりが多く、正直なところ会話をしていても新たな気づきを得ることはほぼないのですが、ツイッターをやることで多様性のある意見も知ることが出来、「こういう見方もあるんだな」と気づくことが多々あります。このブログのプロフィール欄の付近(サイドバー)にツイッターを埋め込んでいるのですが、iponeですと何故か見れないようですので、念のため以下のとおり紹介させて頂きます。 

https://twitter.com/p7k1qo6OEKdewU2

前置きが長くなりましたが、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」からのTOB提案を巡り、東洋建設がYFOの提案が企業価値向上につながるか否かを検討する特別委員会を設置したことを公表しました。

https://www.toyo-const.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/02/20230215.pdf

新聞報道によると東洋建はYFOの情報提供が不十分として、TOB提案に賛同してこなかったが可能な限り検討を進めるよう判断したようですね。上記プレスリリースに次の記述があります。

当社取締役会は、YFO らの企業価値向上策について事業上の観点からの分析・評価を可能な範囲で最大限実施することを試みましたが、上記情報の提供を受けない限り当社取締役会が本提案に賛同するか否かを判断することは困難であると考えております。その一方で、当社取締役会は、2022年 5 月 23 日以降、再三の依頼にもかかわらず YFO らから上記情報の提供を受けられていないことを踏まえると、現時点で YFO らから提供を受けている情報に限定してでも、当該情報に基づき本提案についての検討を可能な限り進めることが当社の中長期的な企業価値及び株主の皆様の利益の確保・向上に資すると判断し、昨日、当社取締役会は、現時点でYFO らから提供を受けている情報に限定してでも、本提案についての検討を可能な限り進めることを決定しました。

現在、経産省の「公正な買収の在り方に関する研究会」では敵対的買収であっても、取締役会は可能な限りその提案が企業価値向上に資するか否かを検討すべきという意見なども出ているところかと思います。

東洋建設とYFOの攻防は新聞報道でしかこれまで見てきませんでしたが、今後、特別委員会がどういう結果を公表するのかなども注視して行きたいと思います。