中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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ニデックとTAKISAWAの攻防を分かりやすく解説⑤ ー ニデックはもう回答したようですね

TAKISAWAが買収防衛策のスキームに従い必要情報リストの提供をニデックに求めていたことを前回紹介いたしましたが、ニデックは、この要請に対して回答したことについてプレスリリースを次のとおり公表しました。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120230801531782.pdf

必要情報リストの具体的内容が不明ですので、どの程度の時間を要する回答か分からないのですが、これだけの短期間でニデックが回答したことに鑑みると必要情報リストの内容が少ないのか、またはニデックの回答がシンプルであるかのいずれかの気がしますが、詳細開示されていない以上は何とも言えません。

これを受け、TAKISAWAは次にどういう段階に進むかというと、買収防衛策によれば、「大規模買付者から意向表明書の提出があった事実及び当社取締役会に提供された大規模買付情報は、株主の皆様のご判断に必要であると認められるときには、当社取締役会が適切と判断する時点で、その全部または一部を開示いたします」とあります。株主の判断に必要ないと判断する場合には、開示しません。

開示するか否かはわかりませんが、いずれにせよ、その後に取締役会は買収に対する評価をします。TAKISAWAの買収防衛策に次の記載があります。

次に、当社取締役会は、大規模買付情報が完備した後、当社取締役会による検討、評価、交渉、見解形成、代替案立案のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)が当社取締役会に与えられるべきであると考えます。この取締役会評価期間は、大規模買付行為の評価等の難易度に応じて、対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付の場合には 60日間、その他の大規模買付行為の場合には 990日間とします。大規模買付行為は、この取締役会評価期間が経過した後、開始され得るものとします。 当社取締役会は、取締役会評価期間中、外部専門家等の助言を受けながら、提供された大規模買付情報を十分に検討・評価し、当社取締役会としての見解を慎重にとりまとめて公表いたします。また、必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件変更について交渉し、株主の皆様に取締役会としての代替案の提案を行うこともあります

買収防衛策の1つの肝はこの取締役会評価期間です。金商法上のTOBルールでは、会社は意見表明するに十分な期間がないところ、買収防衛策では、取締役会評価期間を設けて十分な検討と買収者との交渉ができるのです。ニデックは23年9月中旬を目途にTOBを開始することを予定していますが、これは、当然ながらTAKISAWAの買収防衛策の取締役会評価期間の後に開始することを想定しているということです。