コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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エーザイが買収防衛策を廃止 ー プレスリリースの内容に注目です

明日は週1回のテレワークの日です。この1~2ヵ月で東京都内の通勤者はかなり増えました。1、2年前は山手線で品川駅で降りても、元旦のようにガラガラだったのですが。山手線はじめ都内の電車が混雑するのは、経済活動が回復に向かうとても良いことなのですが、コロナで人が外にほとんどいなかった東京の日常にも少し懐かしさを感じたります。

さて、前置きが少し長くなりましたが、エーザイが事前警告型の買収防衛策を廃止することを本日プレスリリースを公表しました。

当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針(買収防衛策)の非継続(廃止)について | ニュースリリース:2022年 | エーザイ株式会社

エーザイは取締役会決議で導入・継続更新するタイプの買収防衛策でしたが、これが機関投資家の批判が高く、エーザイの経営トップの株主総会での選任議案の賛成率はいつも60%台でしたが、廃止により、今後は賛成率が高まるでしょう。エーザイのプレスリリースで注目すべき点があります。次が廃止理由の箇所の抜粋になります。

現時点においても、当社のビジネス環境や業界動向より、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある買収リスクが低下したとは認められず、当社の主要なステークホルダーズの共同の利益や長期的な価値を増大させるという当社の企業理念に基づき、リスクに対する十分な備えを取締役会として行うことは引き続き必要であると考えております。他方で、近時の裁判例を踏まえると、本対応方針のような施策をあらかじめ講じておく必要性は低下しています。したがって、実際に当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある買収者や買付者が現れた場合に、ステークホルダーズと対話をしながら、関連する法令の許容する範囲内において、当社の企業価値・株主共同の利益を確保するために、その時点において採用可能な適切と考えられるあらゆる施策(いわゆる買収防衛策を含む)を講じることが妥当であると考えております。以上を踏まえると、本対応方針を継続せず、その有効期間が満了する2022 年6月30日をもって廃止することが相当であると判断しました。なお、取締役会は、当社のビジネス環境や業界動向並びに当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する買収者や買付者が現れた場合に、当該買収または買付についての情報収集・検討等を行う期間の確保や、買収者や買付者との交渉を通じてステークホルダーズに有利な条件を引き出すための施策に関する裁判例の動向等を注視していきます。

太字は私が付けた箇所ですが、要するに、事前警告型は必ずしも必要ではなく、敵対的買収者が出現した時に有事導入型で対抗するということを言っています。このプレスリリースは結構影響があると思います。

エーザイが廃止をした本音は何とも言えませんが、経営トップへの賛成率がいよいよヤバいと感じたのかも知れませんし(株主構成で機関投資家が増えたといった場合)、そういう危機感の中で、有事導入型の法的安定性がこの1年でかなり高まったと判断したのかも知れません。

いずれにせよ事前警告型の買収防衛策について、今後廃止を求める機関投資家の声は益々強くなるような気がします。今年の定時株主総会では、株主から事前警告型の廃止を求める質問が増えるかも知れませんね。