中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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シティインデックスイレブンスが東亜建設工業株の大量保有報告書を提出 ー 東亜建設の「会社の支配に関する基本方針」の記載

村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが8月19日に東亜建設工業大量保有報告書を開示しており、8月19日時点での共同保有者との保有割合は8.28%となっています。

東亜建設の財務は、1Qの決算短信を見ると現預金438億円、有利子負債(借入金)201億円のネットキャッシュで、直近の有価証券報告書を見ると政策保有株式(上場株式)91億円があり(保有銘柄数は36銘柄)、これも加えると328億円のネットキャッシュです。総資産に占めるキャッシュ比率は約16%です。四季報オンラインの情報では予想PERも10倍以下で、PBRも1倍を下回っており、割安のキャッシュリッチ銘柄ということかと思います。

東亜建設は事前警告型の買収防衛策は導入していませんが、直近の有価証券報告書で次の記載があります。

a.基本方針の内容

当社は、公開会社として株式を上場し、株主、投資家の皆様による株式の自由な取引が認められている以上、当社株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合において、これに応じて当社株式の売却を行うか否かの判断は、最終的には株主の皆様の意思に基づき行われるものであると考えております。当社株式の売却を行うか否か、すなわち大規模買付提案等に応じるか否かの判断を株主の皆様に適切に行っていただくためには、大規模買付者側から買付の条件や買収した後の経営方針、事業計画等に関する十分な情報提供がなされる必要があると考えます。また、当社は、その大規模買付提案に対する当社取締役会の評価や意見、大規模買付提案に対する当社取締役会による代替案等も株主の皆様に提供しなければならないと考えます。株主の皆様には、それらを総合的に勘案したうえでご判断をいただく必要があると考えます。当社の財務及び事業の方針を決定する者は、当社の経営理念を理解し、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に構築することができ、当社の企業価値、株主共同の利益を中長期的に向上させることのできる意思と能力を備えている必要があると考えます。したがって、大規模買付提案にあたって当社や当社の株主に対し、提案内容に関する情報や意見、評価、代替案作成に必要な時間を与えない大規模買付者、買付の目的及び買付後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白である大規模買付提案を行う買付者、買付に応じることを株主に強要するような仕組みを有する提案等を行う大規模買付者は、当社の財務及び事業の方針を支配する者としては適切ではないと考えております。  このような大規模買付提案又は大規模買付行為等があった場合には、当社は、法令及び定款によって許容される限度において、企業価値や株主共同の利益を確保するために必要な措置を講じることを基本方針とします。

c. 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取り組み

当社は、企業価値及び株主共同の利益を害する恐れのある当社株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合には、株主の皆様が適切に判断を行えるよう、大規模買付者に対し必要かつ十分な情報開示を求め、あわせて取締役会の評価や意見、代替案等を開示し、株主の皆様に適時適切な情報を提供するように努めるとともに、株主の皆様が検討するための時間の確保に努めてまいります。

要するに大量買付者が出現した場合には、有事導入型の買収防衛策を導入・発動する可能性があるということを示唆しています。この記述はこのような意味を有することは、芝浦機械とシティインデックスとの攻防の時に、芝浦機械が言っています。シティインデックスは日本アジアの買収防衛策に勝っています。

今後、シティインデックスの買増しが進んだ場合、東亜建設は特定標的型の買収防衛策を取締役会決議で導入することを当然視野に入れているかと想像します。本件も今後、進捗あればブログで記事を更新して行きたいと思います。