中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

コスモHDの有事導入型の買収防衛策

本日の日経新聞にも記事が掲載されていましたが、旧村上ファンド系の投資会社のシティインデックスイレブンス がコスモエネルギーHD(コスモHD)の株式の20%以上の取得を示唆したことに対して、コスモHDが買収防衛策の導入を1月11日に公表しました。次のプレスリリースです。

https://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_230111/pdf/230111jp_01.pdf

全文は読み切れていませんが、取締役会の決議で導入をするようですね。そして、プレスリリースの18ページに「⑤対抗措置」として次の記述があります(太字は強調のため私がつけました)。

株主意思確認総会において、株主の皆様が、当社取締役会が提案する対抗措置の発動に関する議案を承認された場合であって、かつ、大規模買付者が大規模買付行為等を撤回しない場合には、当社取締役会は、かかる株主の皆様のご意思に従い、独立委員会の意見を最大限尊重した上で、下記 3に記載する対抗措置(差別的行使条件等及び取得条項等が付された新株予約権の無償割当て)を発動します。これに対し、当該株主意思確認総会において株主の皆様が対抗措置の発動に関する議案を承認されなかった場合には、当社取締役会は、株主の皆様のご意思に従い、対抗措置を発動しません。但し、大規模買付者が上記①から③までに記載した手続を遵守せず、大規模買付行為等(当社株式の追加取得を含みます。)を実行しようとする場合には、大規模買付行為等がなされることを受け入れるか否かに関し、大規模買付者から開示される情報に基づき株主の皆様が熟慮されるために必要な時間を確保することができず、また、株主の皆様のご意思を確認する機会も確保することもできません。従って、かかる場合には、当社取締役会は、株主意思確認総会を経ることなく、特段の事由がない限り、対抗措置を発動します。当社取締役会は、対抗措置発動の是非を判断するに当たっては、独立委員会の意見を最大限尊重するものとします。 

取締役会が導入した買収防衛策に基づき、コスモHDが対抗措置を発動する場合には、株主意思確認総会を開催するが、大量買付者が買収ルールを遵守せずに買付を進める場合に、時間がないので株主意思確認総会は開催せずに、取締役会の決議で発動するということですね。シティインデックスもホームページで意見を公表しているようです。