中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

象印マホービンが株主提案に対する取締役会意見を公表

本日は在宅勤務でした。しかし、家で仕事をするとほとんど体を動かしませんね。大豪邸でもなく、家の中を歩くだけで普通に汗をかくほどのスペースは私の家にはないので、これはいかんということで、「達磨四股」(ご存じでしょうか?)をして腹筋を鍛えるとともに、15時から1時間程度ウォーキングをしました(テレワークの時は急ぎの案件もないのでよいかなと。仕事は成果さえ出せばよいので、極端な話、気晴らしを兼ねて昼間にパチンコ屋に行ったとしても、本質的な問題は全くないと最近思っています(とは言え、在宅勤務中にパチンコ屋に行ったことは、さすがにまだないですが・・)。

さて、本題ですが、象印マホービンに対して投資ファンドが株主提案をしており、そのうちの1つが事前警告型の買収防衛策の廃止であることを以前に紹介しました(その時の記事を最後に再掲いたします)。これに対して象印が株主提案に対する取締役会意見を1月10日に次のとおり公表しました。

https://pdf.irpocket.com/C7965/fhjD/p3bs/fwe0.pdf

各株主提案に対する反論がつらつらと書かれています。買収防衛策の廃止に対する取締役会の意見もあります。PDFをコピーできない設定にしているようなので(理由は不明ですが時々こういう会社いますね)、ポイントを私なりに簡単に整理すると次のようなことかなと。

  1. 買収防衛策は経営者の自己保身の意図に基づくものではない。何故ならば買収に応じるか否かを判断するに必要な情報や時間を確保するためのものであり、株主総会において株主の承認を得て導入された
  2. 対抗措置は合理的な客観性要件が充足されないと発動されないようになっている
  3. 発動に際しては、独立性のある社外取と社外の有識者から構成される独立委員会による勧告を必ず経ることとされている

まあ、簡単に纏めると上記のような内容でしょうか。気になる方は原文をしっかりと読んで頂ければと思います。しかし、上記1~3はいずれも次のような点で個人的には疑問を感じます。株主総会で株主の賛同が得られることと、経営者の自己保身でないことの関連性はあるのか、独立委員会が行うのは勧告であり法的効力はないのでは、などです。

象印の取締役会の意見が合理性があるか否かは、最終的に株主が判断することであり、そのためには安定株主比率が結果を左右する要因の1つであるかと思います。機関投資家象印の株式の保有比率は知りませんが)が象印の株主提案にどの程度賛同するでしょうか?議決権行使助言会社であるISSやグラスルイスが、株主提案に対して賛否のいずれの推奨をするでしょうか? 個人的にはこのあたりが気になります。象印の株式を100株程度購入して、株主として質問をしたりすると面白いかなと考えたりしています(多分買わないと思いますが)。