中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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サンセイ(6307)と光通信の攻防(3) - サンセイの取締役会評価期間の開始

サンセイと光通信の攻防について、次の記事のとおり光通信がサンセイより追加情報を受領したことを書きました。

本日11月26日にサンセイは取締役会評価期間の検討を開始したことを公表しました。前回のブログでも書いたように、取締役役会で対抗措置の発動の是非を検討することになります。以下はプレスの一部抜粋になります。

2020年 11 月 25 日に開示いたしました「当社株式の大規模買付行為に関する情報提供完了通知の交付についてのお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社取締役会が光通信株式会社、株式会社光通信及びそのグループ(以下「光通信グループ」といいます。)に対し、情報提供完了通知を交付いたしましたので、当社は、2020年6月 26 日開催の第 65 回定時株主総会において承認された「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」に基づき、情報提供完了通知を行った後、その翌日となる本日を起算日として、当社取締役会は、取締役会評価期間(以下「評価期間」といいます。)に入りますので、お知らせいたします。今後、当社取締役会は、必要に応じて適宜外部専門家等の助言を得ながら、光通信グループから提供された必要情報を十分に評価・検討し、独立委員会による勧告を最大限尊重した上で、光通信グループによる大規模買付行為に対する当社取締役会としての意見(大規模買付行為に対する対抗措置の発動又は不発動に関する判断を含みます)を慎重に取りまとめ、光通信グループに対し通知するとともに、これを開示いたします。
なお、光通信グループより、「対価を現金(円貨)のみとする公開買付による当社株式の買付け」を行う旨の回答を得ていることから、評価期間は本日から起算して最大 60日間(2021 年1月 24 日まで)となります。

記載のとおり、評価期間は1月24日までとなります。なお、サンセイの買収防衛策スキームでは、評価期間は、取締役会の評価・検討のために不十分であると判断する場合には延長できるとされています。サンセイのスキームでは、評価期間の延長の回数に制限がありませんので、スキーム上は何度でも延長が可能となっており、この点では、経営陣の恣意性排除(買収防衛策の重要なポイント)という点では少し問題のあるスキームとも言えます。

取締役会評価期間内に、独立委員会は対抗措置の発動の是非の勧告を取締役会に行い、取締役会は当該勧告を踏まえて、対抗措置の是非を決定します。サンセイのスキームでは対抗措置の発動には株主総会は関与しません。取締役会の決議のみで対抗措置を発動できるほか、大量買付者が手続を遵守した場合には、株主総会が対抗措置の是非を判断するスキームにしている企業もありますが、サンセイは株主総会は一切関与しないスキームです。こうしてみるとサンセイの買収防衛策スキームは、経営陣による恣意的取り扱いの可能性をきっちりと排除したスキームとまでは言えない印象を持ちます。

暫く取締役会評価期間となりますが、この間にプレスリリース等があった際にはまた取り上げたいと思います。