コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

エムビーエス(1401)が建設コンサル大手のパシフィックコンサルタンツと5度目の業務提携を更新

 国土強靭化関連銘柄の1つにエムビーエス(1401)があります。独自研磨法と特殊コーティングでの外装リフォーム会社で、直近のブログは次のとおりです。

同社はスケルトン工法という技術を用いて、トンネルや高速道路の強化を行う事業を行っている小型銘柄で保有銘柄でもあり、定期的にプレス等をウォッチしているのですが、11月20日に建設コンサル大手のパシフィックコンサルタンツとの間で5度目の業務提携更新をしたことを公表しました。以下はプレスリリースの抜粋です。

「当社は、パシフィックコンサルタンツ株式会社と5度目の業務提携更新を行いました。パシフィックコンサルタンツ株式会社とは、2011年9月7日にスケルトン工法の改良及び技術支援を目的とした業務提携契約を締結し、今年で10年目を迎えます。パシフィックコンサルタンツ株式会社は総合建設コンサルタントとしてのノウハウを生かし、スケルトン工法の性能を向上させるために必要な技術的知見の提供、海外展開促進などの支援をしていただいております。本工法はこれまでに橋梁やトンネルの補強工事など、全国各地で採用されており、施工実績は直近1年間では100件、合計では600件を超えました。」

エムビーエスは売上高は国内ですが、今後は海外展開も期待できるかも知れません。エムビーエスは、テレビ東京のニュース番組でも高い技術力を有する企業として2回ほど特集が組まれています。国土強靭化に関しては、国は2021年度から12兆円規模の5ヵ年計画を予定し、12月に纏める追加対策と併せて閣議決定される予定です。

ところで、建設コンサル会社では、最大手が1位が日本工営、2位がパシフィックコンサルタンツ、3位が建設技術研究所、4位がJR東日本コンサルタンツ、5位がオリエンタルコンサルタンツとなっています。エムビーエスは小型銘柄であり、1日の株式売買高も15,000株程度と小さいのですが、今後、大きな飛躍が期待できる銘柄として期待しています。

旧村上ファンドが自動車部品のヨロズに臨時株主総会を請求 ー この狙いは?

11月21日の日経新聞で旧村上ファンド系の投資会社のレノが自動車部品のヨロズに臨時株主総会を請求したとの記事がありました。ヨロズは買収防衛策を有しているところ、レノは買収防衛策を廃止できるよう定款の定めの設定を求めているということでした。

「ん?」と思ったので、ヨロズのプレスリリースを見たところ、定款に「買収防衛策は、株主総会の決議によりこれを廃止することができる」ということを規定せよということで定款変更の件で臨時株主総会の招集を求めているようです。これを見てもピンとこなかったのですが、レノによれば、その理由としては、次のようなことをあげています(以下、意味はプレスの内容を要約しています)。

  • ヨロズの買収防衛策は2018年6月の定時株主総会において承認されて導入され、有効期間を3年という長期間とする代わりに、期間満了前であっても、取締役会の決議により廃止できるほか、株主総会での決議によっても廃止できるとされている
  • このように買収防衛策は株主の判断によっていつでもこれを廃止できるとの説明がなされた上で、株主総会における承認を得て導入された
  • レノは2019年6月のヨロズの定時株主総会の議題として、買収防衛策の廃止を提案しようとしたところ、ヨロズの取締役会は、買収防衛策の廃止は株主提案権の対象ではないとして株主総会の議題とすることを拒絶
  • この判断は、買収防衛策が導入された際の説明(株主の判断によっていつでも廃止できる)と矛盾するものでしたが、最終的に、東京高裁は、現行定款上、当社買収防衛策の廃止が株主総会の権限の範囲に属する事項とはいえないとの判断を示した
  • そこで、ヨロズの買収防衛策の廃止が株主総会の権限の範囲に属することを明確にするために、現行定款の変更を提案する次第

世の中の買収防衛策の多くは、継続期間中であっても取締役会又は株主総会の決議で廃止できるとなっており、ヨロズのスキームも何ら特殊なものではありません。しかし、昨年レノが廃止の株主提案をしたところ、裁判所によって株主提案をヨロズが取り上げなかったことが適法とされました。この案件自体は、旬刊商事法務でも記事になっており、理由までは当時詳しく読んでいませんでしたが、たしか何か特別な理由があったように記憶しています。

では、今回、レノはこのような定款変更を求めて臨時株主総会の招集を求めた理由は何でしょうか?定款変更は株主総会の特別決議事項であるのでレノにはハードルが高いようにも思えます。

これは私の勝手な想像ですが、ヨロズの来年6月の定時株主総会で買収防衛策の継続更新について機関投資家の反対票を集め、否決させることがレノの狙いにはあるように思えます。

ヨロズは2018年の定時株主総会で買収防衛策を継続更新していますが、この有効期限が来年2021年の定時株主総会の時で満了となります。ヨロズとしては、来年も継続更新をしたいのだと思いますが、今回、レノはヨロズの買収防衛策が不適切なものであるということを機関投資家にアピールして、来年の定時株主総会での議案の賛成を阻止したいのかも知れません。

つまり、ヨロズの買収防衛策は株主総会で廃止できるというスキームになっていながら、株主が廃止の株主提案をしてもヨロズは取り上げることをしない、つまり、会社側が買収防衛策の廃止を会社提案として上程しない限りにおいて廃止できない不備があるスキームであることを機関投資家にアピールしたいようにも思えます。不適切なものであるということになると、機関投資家も反対せざるを得ません。私の勝手な想像ですので、真の狙いは別かも知れませんが・・。

以前の旬刊商事法務の記事を読み直すとともに、ヨロズとレノとの攻防の今後の動きもアップデートしていきたいと思います。

クレアホールディングスが臨時株主総会の開催を中止 - 投資ファンドが一般株主の議決権行使書取得のため粗品を提供。これっていけないの?

東証2部上場のクレアホールディングス(1757)が投資ファンドから株主提案を受けるなどして争っており、以前にISSが株主提案に対して反対推奨をしたことを次のとおり紹介しました。

今回、11月19日にクレアホールディングスは株主からの株主提案を受けて臨時株主総会を開催する準備している中、株主総会の開催を中止することを公表しました。詳細は、次のクレアのホームページに記載のとおりですが、投資ファンドが一般株主の議決権行使書の郵送を条件に、粗品を提供していたということが書かれています。これにより株主による公正な決議ができないと判断したということです。

臨時株主総会開催中止及び基準日取消しに関するお知らせ – クレアホールディングス株式会社

法的な詳細は不明ですが、他の株主の議決権行使行使書を回収するのはいけないことなのでしょうか?通常、定款では株主以外の者による議決権の代理行使は禁止していますが、株主である場合には問題はないので、今回の投資ファンドによる行為も問題ないようにも思えますが、回収の対価として「粗品」の提供が問題と言っているのでしょうか。この投資ファンドも法的課題も念頭において粗品の提供を行っていると思いますので、今回のクレアの決定に対して、争うのではないでしょうか。本件も今後注視したいと思います。

買収防衛策の導入・継続に向けて③ - 国内機関投資家の賛成確保に向けての進め方

本日は買収防衛策の導入・継続に向けての第3回目になります。前回は、買収防衛策の導入には株主総会の承認(普通決議)が必要になるところ、外国人株主の賛成は期待できないため、「国内機関投資家の賛成を得ることが肝」ということを書きました。前回の内容は次のとおりです。

国内機関投資家の買収防衛策に対する判断基準ですが、非常に厳しくなっています。4~5年前までは買収防衛策に賛成してくれる機関投資家も結構多かったのですが、ここ1~2年で各社とも判断基準を一層厳しくなっています。

理由は簡単で機関投資家に資金の運用を委託しているアセットオーナー(GPIFほか)が買収防衛策に基本的に反対しているため、機関投資家も判断基準を厳しくせざるを得ないのです。オーナーが反対方針のため、機関投資家はこの方針に反すると運用資金を引き上げられる可能性もあるからです。

という環境下において、国内機関投資家の賛成確保に向けた動き方について本日は紹介します。機関投資家の賛成を得るための動きは次のとおりになります。

  1. 9月末時点の自社の実質株主判明調査を行う
  2. 1の判明結果は11月上旬になるので、判明した株主の中、保有株式数の多い機関投資家を中心に本年の定時株主総会の議決権行使の個別開示結果で買収防衛策議案への賛成件数を見る
  3. 2の結果、賛成件数が一定数ある機関投資家を選別し、現状の議決権行使基準を分析。賛成件数ゼロの機関投資家は賛成は今後も見込めないため無視する。なお、機関投資家は毎年、議決権行使基準を改定しますが、改訂の時期は年明け以降になるケースが多いです
  4. 3で選定した当該機関投資家と対話(エンゲージメント)を実施し、①買収防衛策議案への賛成の条件 ②今度の定時株主総会での買収防衛策に関する議決権行使基準の改訂の方針を確認する
  5. その上で、機関問投資家の賛同が得られるよう自社の買収防衛策のスキームを策定、または見直しを実施

以上のような流れを実務上は踏むことになるかと思います。要するに年内に機関投資家の議決権行使に対する考えを分析して、年明けに賛成をしてくれる可能性のある機関投資家を訪問して、議決権行使基準の改訂の方向性と改訂後の基準での賛成の可能性を分析するというになります。

次回は、国内機関投資家が賛成するためのポイントについて紹介します。

ストラテジックキャピタルによるTOBに対して京阪神ビルは反対を表明

アクティビストのストラテジックキャピタルが京阪神ビルディングに対してTOBをしかけており、前にブログで、政策保有株主はこのTOBに応募しない場合には合理的な理由を準備しておく必要があることを次のとおり書いております、

本日の日経新聞によれば、昨日、京阪神ビルはTOBに対して反対を表明したということです。京阪神ビルのホームページの投資家情報に開示文が掲載されています。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01818/c2691c50/2289/46ab/bb71/bce85ed95a47/140120201119426544.pdf

まだ詳細は読めていないのですが、「本公開買付けが、当社の中長期的な企業価値の向上及び株主の皆様の共同の利益に資するものであるか疑問であること、本公開買付けは本定時株主総会において示された当社株主の皆様の意思に反するものであること、公開買付者との間で信頼関係を構築することが困難であり、公開買付者が当社への影響力を強めることで当社の経営に支障をきたすこと等を踏まえ、本公開買付けに対して反対」となっています。

3連休に読めたら、開示文ポイントをブログで書きたいと思います。また、買収防衛策の導入・継続については、11月17日にブログで掲載していますが、3連休中に続きを掲載したいと思います。

 

サンセイ(5307)と光通信の攻防(2)- 光通信が追加情報をサンセイに提供

サンセイと光通信の攻防について、先日次のとおりブログに掲載したように11月10日にサンセイは光通信に必要情報の追加提供を要請しています。

これに対して、11月17日にサンセイは光通信から追加情報リストに対する回答書を受け取ったことを公表しました。

サンセイは、これを独立委員会に提出するとともに、光通信の回答が追加必要情報リストに対する回答として十分な内容か否かを検討するということのようです。そして、提供された情報に不明な点がある場合には、さらなる追加情報の提供を要請する場合もあるといっています。

では、サンセイはこの追加情報の提供を法的に何回、光通信に求めることができるのでしょうか?

結論からいいますと何度でもできます。その理由は、サンセイの買収防衛策では追加情報の提供に期限を設けていないからです。つまり、もし、サンセイに悪意があり、光通信の回答に難癖をつけて「この回答は不十分なので追加回答せよ」ということを繰り返すことも可能なのです。

買収防衛策を導入する企業では、この情報提供の要請と回答の期間に制限を設けている会社も多いです。会社にとっては期限を設けない方がだらだらとやりとりを続け、大量買付者の株式取得の時間稼ぎをすることが出来るので都合がよいのですが、機関投資家はそのようなスキームの買収防衛策を嫌います。従って、買収防衛策の総会議案への賛成を得るために、やむなく制限する会社も多いのです。

サンセイは今回の光通信の回答で納得した場合には、光通信に情報提供完了通知を行い、その翌日を起算日として、サンセイの取締役会で対抗措置発動の是非等を検討します。その検討期間は60日間となっています。

さて、サンセイは次はどのような手続きに進むのでしょうか?興味深いところです。

コーポレートガバナンス・コードの改訂に向けた議論 - 金融庁のフォローアップ会議が11/18に開催されました

コーポレートガバナンス・コードの改訂に向けた金融庁のフォローアップ会議が昨日開催されました。その前は10月20日に開催され、その時の内容は前に次のとおりブログで紹介させていただきました。

昨日の会議では、前回の会議での各委員からの意見と今後議論していくべき論点が明確になったようです。前回の会議の意見は様々ですので、記載は省略しますが、今回議論された上場企業にとって関心のある主な論点は次のとおりです。

  • 取締役会の機能発揮(独立社外取の質・量の向上、取締役及びその候補のダイバーシティ、サクセッションプランの充実)
  • 資本コストを意識した経営(事業ポートフォリオ戦略の実施、現金保有・政策保有株式のあり方、企業価値の考え方)
  • グループガバナンスのあり方(親子上場における少数株主保護等、 グループ経営の最適な経営資源の配分とリスク管理のあり方)
  • 株主総会関係(株主総会資料の早期提供 、総会日程の分散化、英文開示、バーチャル総会等)
  • 中長期的な持続可能性(ESG、管理職等のダイバーシティ
  • コロナ後の企業変革に向けた諸課題(①デジタル・トランスフォーメションの進展に伴う企業の変革、②持続的な成長のための人材育成・投資 、社内環境整備、 ③不確実性の高まりに応じたリスクマネジメント(感染症 、気候問題 、人権、データセキュリティ等) など

「コロナ後の企業変革に向けた諸課題」などは私は関心があります。①から③はいずれも重要な内容ですが、これがコードにどのように反映されていくのか興味深いところです。

また、プライム市場の上場企業に求められるコーポレートガバナンス等も議論されたようです。金融庁は、プライム市場を「投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする」というのをコンセプトとしており、プライム市場上場企業に対して求めるガバナンスについて検討する必要があると考えているようです。

詳細は不明ですが、東証の上場区分の見直しでプライム市場に上場する企業には、英文開示はじめ一段と高いコーポレートガバナンスの整備が求められるような様子です。引き続き注視していきたいと思います。

買収防衛策の導入・継続に向けて②- まずは自社の株主構成を見る

前回、買収防衛策の導入・継続に向けての第1回ということで、議決権行使助言会社であるISSの買収防衛策の議決権行使基準について、次のとおり紹介しました。

来年の定時株主総会の時期も近づいてきましたので、来年に買収防衛策の更新期限を迎える企業、来年に新規に買収防衛策の導入を検討する企業も多いかと思います。本日より、実務上、どうすれば買収防衛策を新規導入または継続更新(以下併せて「導入」とします)できるか、もし、導入が出来ない場合にはどうすればよいかについて何回かに分けて紹介したいと思います。

まず最初に買収防衛策を導入するにはどうすればよいでしょうか? 答えはとてもシンプルで、定時株主総会で買収防衛策議案を普通決議事項として上程して、過半数の株主の賛同(50%超の賛成率)を得ればよいのです。

従って、導入検討企業が最初に考えるべきことは、自社の株主構成を見て、果たして過半数の賛成率が得られるか否かです。では、どういう株主構成になっていれば良いのでしょうか?

最初に外国人株主の株式保有比率を見ることが重要です。外国人株主=海外機関投資家ですが、外国人株主比率が50%超の場合、まず買収防衛策議案は否決されると考えるべきでしょう。それは外国人株主は基本的に買収防衛策に反対のスタンスというのが理由です。

議決権行使助言会社であるISS、グラスルイスの賛否推奨基準に従う外国人株主は多く、ISS・グラスルイスは買収防衛策に反対推奨しているがゆえに賛成を得るのが困難です。もっとも最近はステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズをはじめ独自の議決権行使基準で判断する外国人株主も存在するので、外国人株主の全員が反対ということではないのですが、多くは反対するとみていた方が無難です。つまり、外国人株主=反対と見るのです。

では、逆に賛成が確保できる株主は何かというとそれは安定株主です。安定株主とは都銀、地銀、生命保険会社、損害保険会社、持ち合いの事業法人です。これらの株主は基本的に賛成です(とは言え、生命保険会社は最近、少し厳しくなってきました)。

問題は国内機関投資家です。2010年頃には国内機関投資家の多くは賛成でしたが、ここ数年で状況は大きく変化し、買収防衛策をかなり厳しく判断するようになっています。1年前と今でも状況は違います。

従い、安定株主が過半数を占めているような状況でもない限り、この国内機関投資家の賛成票をどう読むか、買収防衛策の導入のカギはここにつきます。実務担当者は国内機関投資家の賛否分析の正確性が問われます。賛成を見込んでシミュレーショをしていたが、結果として総会で過半数の賛成が確保できす、議案が否決されたとなったら目もあてられません。国内機関投資家の賛成票読みがいかに正確に出来るかがポイントです。

次回、国内機関投資家の買収防衛策に対する考え、国内機関投資家が賛成してくれるにはどうすればよいかの実務について説明します。来年、買収防衛策の導入を検討している上場企業の経営トップ、担当役員、実務担当者の方は、是非参考にして頂ければと思います。

サンセイ(6307)と光通信との攻防 - サンセイが追加の必要情報の提供を要請

東証2部上場のサンセイ(6307)の株式を光通信が買い増しをしており、サンセイは、事前警告型の買収防衛策(本年の株主総会で継続更新)のスキームに則り、光通信との間で情報の提供等のやりとりをしていることを以前にブログで掲載しました。

その後、11月10日付でサンセイは光通信に対して、大量買付行為に関する必要情報の追加提供要請をしたことを公表しました。

これは、どういうことかといいますと、サンセイの買収防衛策では20%以上のサンセイ株式を「市場内外」で取得する時には、取得の目的などを書面で提出せよとなっており、10月9日に光通信は回答書をサンセイに提出していますが、その内容が必ずしも十分ではないとサンセイの独立委員会は判断し、追加情報の提供を光通信に求めたということです。

光通信に追加提供を求めた情報は、11月10日付のサンセイのプレスから抜粋しますと、次の内容になります。

  • 光通信株式会社及び株式会社光通信は、ともに有価証券の投資、運用を事業の目的とされておりますが、両社の投資、運用方針の差異についてご教示ください。
  • 当社が株式会社光通信の持分法関連会社となった場合、光通信グループとして当社に求める事項(決算対応を含みます。)についてご教示ください
  • 光通信グループとして、当社に重要提案事項以外の提案を行う可能性があるか、ある場合はその具体的内容についてご教示ください
  • 光通信グループとして、今後の当社株式の取得予定数は「500,000 株」ということですが、仮に将来この予定が変更となる場合、その時点で有効な当社の買収防衛策があれば、そのスキームに則り当社が光通信グループに必要情報を求め、対抗措置発動の是非を検討することについて同意いただけるかご教示ください

サンセイは株式時価総額約40億円(本日時点)の小型銘柄ですので、新聞で報道されることもありませんが、買収防衛策の発動も今後あり得る事例とも言えますので、今後の動向はまたブログで掲載していきたいと思います。

9月の世界半導体売上高 - 8ヵ月連続で前年実績を上回る

先日、米半導体工業会(SIA)が9月の世界半導体売上高を公表しましたが、9月は前年同月比+5.8%増の379億円ドルでした。米州、中国、アジア太平洋地域がプラスで、米州が+20.1%、中国が+6.5%となっています。前年実績を上回るのは8ヵ月連続ということです。

9月9日には国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が2020年4-6月期の世界半導体製造装置販売高を公表し、前年同期比で+26%となっており、特に中国と韓国が好調でした。

7月にSEMIが公表した市場予想では、2020年の半導体製造装置販売額は前年比+6%の632億ドル、2021年には過去最高の700億ドルとなっています。パンデミックやマクロ経済の要因もあり、先行き不透明なところもありますが、半導体需要は堅調に推移しているようです。

ニトリによる買収提案を島忠が受諾 ― 島忠がDCMのTOBを捨て、後出しのニトリに方針転換をした理由

今週は保有銘柄などの決算発表が相次ぎましたが、業務が忙しく、夜に自宅でエクセルに決算数値を打ち込むだけで終わってしまいましたので、本日は、決算短信と決算説明会資料の分析作業をしています。

さて、昨日と本日の日経新聞でも報道のとおり、DCMホールディングスが島忠に有効的TOBをしている中でのニトリによる島忠のTOBに対して、島忠が昨日、ニトリTOBを受諾する旨を表明しました。

その理由については、簡単に本日の日経新聞に記載されていますが、11月13日付の島忠の「DCMホールディングス株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見の変更についてのお知らせ 」に詳細が記載されています。同お知らせより、受諾するに至った理由をあげると次のとおりです(なお、分かりやすいよう、公開買付をTOBに表現に変えたり、当事者名をDCM、島忠に変えるなど読みやすいよう原文に一部形式的な修正を加えています)。

  • 2020年10 月 29 日、ニトリにおいてTOBの実施予定に係る公表がなされ、あらためて本取引(※DCMによるTOBのこと)に係る取締役会の意見を変更する必要が無いか否かについて企業価値及び株主共同の利益の観点から慎重に検討を実施
  • 島忠及び島忠の特別委員会は、DCMによるTOB価格がニトリによるTOB価格である1株当たり5,500円を大きく下回ることから、11 月9日、DCMに対しTOB価格についてニトリによるTOB価格である1株当たり 5,500 円以上の価格に変更する予定があるか否か、また変更する場合には変更後の具体的な金額について確認を行った
  • しかし、11 月 12 日時点においてDCMよりかかる変更の予定や具体的な金額は示されていない
  • 以上の経緯の下、 11 月 13 日開催の島忠の取締役会において、森・濱田松本法律事務所から受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言の内容を踏まえつつ、特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、DCMによるTOBけに係る島忠の取締役会の意見を変更する必要があるか否かについて、慎重に協議及び検討を行い、DCMによるTOB価格は、ニトリTOB価格(1株当たり 5,500 円)を大きく下回り、11 月 12 日時点において、DCMより、本公開買付価格を1株当たり 5,500 円以上へと変更する予定や具体的な金額は示されていないため、一般株主の利益の観点からは、ニトリによるTOBの方がより有利であること、中長期的には、DCMとの取引よりニトリとの取引による方が島忠事業の発展可能性が大きく、より一層、島忠の企業価値を向上させていくことができると考えられる

要するに、理由は極めてシンプルでニトリがDCMよりはるかに高い価格でのTOB価格を提示したことに対して、島忠の独立委員会は、島忠の株主価値向上の観点から、ニトリTOBに応じるべしと判断したということです。

勿論、島忠としては、コロワイド大戸屋の取締役全員をクビにしたつい最近の事例もあり、自分たちもクビにされるのではと心配も大いにあると思いますので、ニトリと島忠の間では、買収後も社長はじめ取締役のクビは切らないなど表には出ていないやりとりもあり賛同したのだとは思います(あくまで私の想像ですが、普通そうでしょう)。

少し前に伊藤忠ファミリーマートTOBにより上場廃止した際、TOBの価格が低いということで、ファミマがTOBへの応募の推奨をしなかった例がありました。以前にブログで書いていますので、紹介します。

このケースもあったので、DCMよりも圧倒的に高い価格を提示したニトリTOBに対して、島忠の独立委員会は、島忠の株主のことを考えるとニトリTOBを否定することはしにくいであろうとは思っていましたが、予想どおり、高い価格を提示したTOBを受諾したということです。

この事例は今後のTOB増加のきっかけになると思います。つまり、アクティビストではなく、事業会社が高い価格のTOBを提示した場合には、買収をされる会社は、感情だけで拒絶することは出来なくなるということです。ましてや、買収される企業の株式をアクティビストが株式保有していた場合にはなおさらです。

上場企業としては、今後は敵対的買収のリスクを発生確率の高いリスクとして明確に認識し、事前の対策(色々あります)を十分にしておく必要があります。

議決権行使助言会社のISS社が現経営陣と対立する取締役候補者の株主提案議案を分析する際の視点

本日は2週間ぶりにテレワークをしました。私の勤務の最寄り駅は東京都の品川駅ですが、通勤時間は、自宅を出てからオフィスに到着するまで電車と徒歩でちょうど35分なので、仕事の効率を考えるとインフラの整ったオフィスで仕事をする方が効率的です。

このため、細かい数値等の作業ではなく、ゆっくりと考える仕事をする時、仕事に関連する雑誌や資料(株式投資関連、保有銘柄の決算資料を読むこともありますが)を静かな中で集中して読みたい時に10日に1回程度の頻度でテレワークにしています(なお、テレワークをいいことに、ほとんどオフィスに来ずに、「毎日がバケーション」という糸の切れた状態の中高年サラリーマン(特にあと1~3年で役職定年になる人)も世の中にはかなり多いと思います。それに比較して子供のいる女性は、真面目にテレワークで集中して効率的に仕事をしているように思えます)。

さて、前回は買収防衛策に絡めてISS社の議決権行使基準を説明しましたが、本日はISSがある会社の取締役選任の株主提案に対して賛否推奨をした際の判断基準について紹介します。

東証2部上場のクレアホールディングス株式会社(1757)という会社がありますが、この会社は株主から定款一部変更と取締役選任の臨時株主総会の開催請求を受け、11月20日に臨時株主総会を開始する予定になっていますが、昨日、株主提案に対するISSの賛否推奨レポートの結果をクレアは公表しました。

自社に都合の良い賛否推奨レポートのためクレアは公表したのですが、株主提案にISSは「反対推奨」するという内容です。これ自体はなんら珍しいことではないのですが、このレポートの中で、ISSが現経営陣営と対立する取締役候補者の議案を分析する際の視点が書かれています。

11月11日付のクレアの「当社臨時株主総会の議案に対する議決権行使助言会社の賛否推奨レポートについて」から該当箇所のみを抜粋すると次のとおりです。

  • 株主提案者は変革が正当である旨の説得力の伴う主張を展開したか
  • その場合、株主側の対立候補者は現行の取締役よりも変革を実行できる可能性が高いのか
  • 株主側が取締役会の支配権を求めている場合、十分な理由のある詳細な事業計画(株主側の戦略的なイニシアティブを含む)、会社の支配権の移行に関する具体的な計画、経営の持続性が問題となる可能性がある場合には、スキルと信頼の伴う新たなマネジメントを求める

クレアによればISSの賛否推奨レポートでは上記が記載されているということです。ISSは、取締役選任の株主提案では、従前からこの基準の下で判断をしていたのかも知れませんが、私はこれまで詳しく知りませんでしたので、本日紹介させていただきました。

買収防衛策の導入・継続更新に向けて① ー 買収防衛策に関する議決権行使助言会社ISSの議決権行使助言方針

本日も日経平均株価が上昇しました。本日の終値は昨日より+444円の25,349円でした。コロナワクチンの実用化に向けた動きから、将来の景気回復を市場が期待していることが背景かと思います。

さて、昨日のブログで買収防衛策の導入・継続更新について、今後詳しく紹介していく旨を書きました。業務上の必要性から、日中にオフィスで政策保有株式に関するISSの議決権行使助言方針(ポリシー)を見ていたこともあり、まずはISSの買収防衛策に関するポリシーを本日は説明いたします。

議決権行使に関わる仕事をしている方は精通しているかと思いますが、総会の買収防衛策議案に関しては、ISSは形式審査と個別審査という2つの審査を踏むこととしています。個別審査はケースバイケースで判断しますが、形式審査においては、賛成推奨するための基準が8つほど列挙されています。この8つ全てを充足することが形式審査をパスするためには必要ですが、この中から特にポイントとなる基準を4つほどあげます。

  1. 取締役の任期が1年であること
  2. 買収防衛策の特別委員会の委員の全員がISSの独立性基準を満たす社外取締役もしくは社外監査役であること
  3. 買収防衛策の総継続期間(最初の導入から今回提案されている買収防衛策の有効期間満了までの期間)が3年以内であること
  4. 株主総会の招集通知が総会の4週間前までに証券取引所のウェブサイトに掲載されていること など

3の基準に関しては、買収防衛策の有効期間は多くの企業では3年としていますので(JFEホールディングスなど2年の企業もあります)、要するに新規導入は認めるが、有効期間満了後の継続更新は認めないということになります。

では、これらの基準をパスすればISSは賛成推奨をするのかというとそんなことはなく、形式審査をパスしても個別審査で反対されるのがほとんどです。従い、結果としては、ISSの形式審査基準に即した対応をする必要性はないということになります。ISSの基準を見るたびに思うのは、ほぼ全ての買収防衛策議案に反対するのであれば、形式審査の基準などわざわざ丁寧に掲げる必要もないのではないかと思います。

ISSは買収防衛策に賛成推奨することはまずないので、ISSのポリシーを採用する機関投資家は買収防衛策の導入・継続議案には反対するということになります。とすると「機関投資家の賛成は期待できないのではないか」と思う人もいるかも知れませんが、そんなことはありません。

それは、全ての機関投資家がISSのポリシーを採用するということはなく、各機関投資家は、自社独自の議決権行使基準を設けており、この基準に従い、買収防衛策議案に賛成する投資家もいるのです。

次回は、機関投資家の買収防衛策議案に対する大きな考え方、賛成基準などのポイントを中心に説明したいと思います。

ジャスダック上場企業のプラコー(6347)が臨時株主総会で買収防衛策を廃止 ー 乗っ取り屋との攻防

中空成形機等プラスチック加工機の専業メーカーのプラコー(6347)というジャスダック上場企業があります。本日時点で時価総額32億円程度の小型銘柄です。

私は定期的にM&A関連の開示情報が外部から配信されてくる設定になっているのですが、このプラコーが本年6月の定時株主総会の承認を得て買収防衛策を導入していたところ、先日、11月6日開催の臨時株主総会で買収防衛策を廃止することが決議されたとの開示情報を先日知りました。

筆頭株主の有限会社フクジュコーポレーションというのが臨時株主総会を招集したようですが、プラコーのIR情報を見ると、ブラコーの労働組合がこのフクジュの株主提案への反対の意思表明をしたり、また裁判所に即時抗告を行うなど色々とプラコーとフクジュの間に激しい攻防があるようです。

ネットで情報検索をするとフクジュというのは乗っ取りを企んでいるようなことが書かれており、プラコーの従業員は徹底抗戦をしている模様です。プラコーの廃止された買収防衛策は、市場内外を問わず20%以上の株式取得をする場合に対抗措置が発動できる建付けになっていましたが、これが廃止されたことにより、フクジュは20%を超えて株式の買占めが出来ることになります。プラコーの従業員は80名程度のようですが、まさしく自分たちの雇用を守るために全員で戦っているのだと想像します。

この乗っ取り案件の詳細がまだ良く分かっていないのですが、乗っ取り屋と企業の攻防ということになると、中堅規模以下の上場企業の経営者の方には、大変参考になる事例になるように思えます。コロナ禍で株価が低迷している中、乗っ取りのリスクは従来より高まっていると言えます。こういうケースを見ると買収防衛策はやはりある方がよいのだと強く思います。

前にもブログで書きましたが、私自身は、証券会社勤務時代と事業会社勤務を含め通算10年以上にわたり買収防衛策の新規導入・継続更新の実務に携わってきました。

ここ数年は国内機関投資家の反対(アセットオーナーが反対するので、アセットマネジャーである機関投資家は反対せざるを得ない)が益々増え、買収防衛策を廃止する企業が増えていますが、コロナ禍の影響で、高い技術力を有するが業績低迷で株価が低迷する企業などは乗っ取り屋に狙われるリスクが1年前より数段高くなっていると言えます。ということに鑑みると、中小型株の企業は買収防衛策の導入を真剣に考えた方がよいのだと考えます。

今後、このプラコーとフクジュの攻防について整理をするとともに、来年の株主総会に向けて年明け1月から機関投資家とエンゲージメントをして事前警告型の買収防衛策の新規導入・継続の検討を開始する企業も多いと思いますので、プラコーの事例と併せて、買収防衛策に関する最新の機関投資家の考え、事業会社が買収防衛策を導入・更新する際の実務上の重要なポイント(このポイントは市販の書籍では100%触れられていません)をブログで掲載して行きたいと思います。

大戸屋の臨時株主総会で取締役の解任が可決されています - コロワイドは大戸屋を今後どうマネジメントしていくのか

既にご存知の方もかなり多いとは思いますが、大戸屋ホールディングスの臨時株主総会コロワイドの株主提案が可決され、大戸屋の取締役は解任、あらたに7名の取締役が選任されました。総会前日に次のブログを書いております。

当然の結果と言えば当然ですが、どの程度の賛成率で議案は可決されたのでしょうか?

大戸屋が臨時報告書を開示しており、これに各議案の賛成率が記載されていますが、コロワイドが株主提案をした7名の取締役全員が80%超の賛成率で可決されています。コロワイド以外の多くの株主の賛同もあったということです。

これで大戸屋は完全にコロワイドに支配されたことになります。大戸屋の新社長は、コロワイドの会長の息子さんのようで、顔写真を見ると、いかにも外食産業一筋といった顔をした印象の方ですが(あくまで印象です)、今後、大戸屋の社員の方は、このいかつい顔をした社長の下でどうやっていくのでしょうか。敵対的買収前には、大戸屋の一般社員は、買収に反対する声をあげていました。

買収により大戸屋コロワイドの上場子会社ということになります。コーポレートガバナンス上、上場子会社への批判は強く、子会社の上場廃止に向けた動きも最近は増えています。上場子会社に関する世の中の動きは9月3日に次のブログを書いております。

最近、敵対的TOBが増えていますが、買収後に会社をどうマネジメントするか、敵対的TOBを検討する会社の経営者にとっては関心が高いところと思います。友好的な買収であっても買収後の会社の運営(PMI)は難しいと言われています。

大戸屋の一般従業員が反対をする中、大戸屋を強引に買収したコロワイド大戸屋の社員に受け入れられるのか、大戸屋の業績は改善されるのか引き続きウォッチしたいと思います。