コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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東京応化工業(4186)が買収防衛策の非継続を公表

事前警告型の買収防衛策の導入企業数が減る中にあって、株式時価総額の比較的大きい企業の廃止動向をウォッチしているのですが、本日、半導体製造工程で使用されるフォトレジストで世界首位級の東京応化工業(4186)が買収防衛策の非継続を公表しました。東京応化工業の株式時価総額は本日時点で約3,000億円です。本日公表のプレスリリースの一部を以下抜粋します。

 こうした状況の下、本対応方針の有効期間満了を迎えるにあたり、国内外の機関投資家をはじめとする株主の皆様のご意見、買収防衛策に関する近時の動向、当社を取り巻く経営環境の変化等を踏まえ、慎重に検討を重ねた結果、当社は、本日開催の取締役会において、本対応方針を継続しないことを決議いたしました。なお、当社は、本対応方針の有効期間満了後も引き続き当社の株主共同の利益および企業価値の確保・向上に取り組むとともに、当社株式等の大規模買付行為を行いまたは行おうとする者に対しては、株主の皆様が当該買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様が検討するために必要な時間および情報の確保に努めるなど、金融商品取引法会社法その他関連法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。 

 太字は私がハイライトしましたが、例によって非継続とする企業が必ず入れている文言です。ブログでも何度か解説していますので、ここでは触れませんが、各社意味が分かって記載しているのか少し疑問の残るところではあります。「右へ倣え」で記載している企業も多いような気もしますが、東京応化工業は非継続とするに当たって、「ステルス型の買収防衛策」を社内できちんと整備しているのでしょうか。

同社の2020年6月30日時点の株主構成は、金融機関38.13%、外国法人24.39%となっています。取締役総数は9名で、うち独立社外取締役は3名となっているので社外取比率は33%ですね。外国法人のほとんどは反対すること、国内機関投家の多くが買収防衛策の賛成の前提条件として、社外取締役過半数としていることに鑑みると東京応化工業の定時株主総会過半数の賛成を得るのは難しいかと想像します。これが非継続の理由です。

今年の3月30日開催予定の定時株主総会社外取締役過半数とする取締役選任議案を上程すれば、買収防衛策の継続議案を上程しても過半数の賛成が得られる可能性も高いと思いますが、そこまでして継続する必要はないという経営判断をされたのだと想像します。