中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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住友金属鉱山が事前警告型の買収防衛策を非継続 ー プレスリリースの記載に注目

本日は、2019年頃の旬刊商事商事の過去資料(電子データ)の中からMBO指針の記事を集め知識の整理をはじめました。最近のMBOはこの指針に則っているのですが、自分で保有するあるスタンダード市場の銘柄がPBRが1倍を下回る状況が続き、このような中で低い価格でMBOがされた場合に備えて理論武装をしておく予定です。

さて、本年の定時株主総会で買収防衛策の継続期間が満了となる住友金属鉱山ですが、本日、買収防衛策を継続更新しないことを公表しました。

https://www.smm.co.jp/news/release/uploaded_files/20220215_2.pdf

社外取締役過半数いない会社は、機関投資家の議決権行使に当たり、賛同を得るのがかなり困難ですので、住友金属鉱山は総会で普通決議の賛同を得るのが難しかったのが非継続の背景と想像されます。

住友金属鉱山は、これまでも買収防衛策を継続更新する際の更新理由がかなり充実していましたが、今回の非継続の場合にも、かなり充実した開示になっています。これまでの廃止企業のプルスリリースの文言と大きく異なるのは、明確に有事導入型について記載している点です。次の記載があります。

昨今我が国においては、取締役会の同意を得ずに開始される株式の大量取得行為に対しては、実際に特定の者により大量取得行為に関する提案が行われた段階で、具体的な買収者の性質や当該提案の内容、当該大量取得行為の目的・態様・条件、その他の具体的事実関係を踏まえて買収防衛策等の対応策の必要性について株主の皆様の意思を確認する事例が増加しております。このような近時の動向および機関投資家との対話状況を踏まえ、当社は、具体的な買収者が登場していない段階で、一般的な目的での買収防衛策の更新を行わないことといたしました。当社としては、実際に特定の者が出現し、当社株式の大量取得行為に関する提案等が行われた時点で、必要に応じて、適切な対応策について株主の皆様にお諮りすることが望ましいと判断しております。 

住友金属鉱山は中期経営計画も同時に公表しているので、非継続のタイミングとしては良いのだと思います。今後、廃止する企業は、今回のプレスリリースのような有事導入型の買収防衛策に関する文言の記載が増えるのだと思います。