中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

株式投資テーマとしての海洋鉱物資源 - 本年2月末に新・国際資源戦略策定に向けた提言のとりまとめが公表予定

2月27日号の週刊ダイヤモンドの特集は「株・不動産・節税で資産1億円」です。個人投資家で100万円の投資から初めて、数億円の資産を築いた方のコメントで「投資銘柄は数銘柄にすべき」ということが書かれていました。これは至極もっともなことで、個人株主で1銘柄当たり100株~300株程度で20銘柄、30銘柄と保有している方もよくいますが、こんな少ない投資単位ですと銘柄の株価が大きく上昇してもたいした儲けになりません。そのため、投資資金にも限りがある中での投資となると、銘柄を5銘柄~10程度に限定して、最低でも1銘柄当たり数百万円の投資が必要になると私は考えます。勿論、株価が下がった時のリスクも大きくなりますが、それは銘柄選定にあたって、過去10年分の財務分析・株式指標分析(投資候補の同業も同様に分析します。PLは四半期レベルでの分析)、市場の将来性分析などの緻密な分析をして、選定の段階でリスクを低減すべきということになるのだと思います。

さて、本日は、最近情報収集を開始した鉱物資産政策について書きたいと思います。数日前にも次のとおり記事を書きました。

経産省の資源・燃料分化会の中の鉱業小委員会が2月15日に開催され、「2050年カーボンニュートラル社会実現に向けた鉱物資源政策」についての議論がされました。今後の大きな流れとしては、資源・燃料分科会において新・国際資源戦略の策定に向けた提言案について議論が実施されてきましたが、本年2月末に新・国際資源戦略策定に向けた提言をとりまとめ、この提言を受け、経産省として3月に新国際資源戦略を発表する予定となっています。

鉱業小委員会では、脱炭素化には、電化に伴う蓄電池やモーターが不可欠であるが、その製造に不可欠なレアメタル等の鉱物資源の必要性はますます高まる見通との指摘されています。私は知りませんでしたが、風力発発電においても「10GWの洋上風力発電機を製造するためには、銅は現在の国内需要の約10%分、レアアースは約20%分程度の資源量が必要」と記載されています。従い、日本が今後、脱炭素化を進める上ではレアアース等の鉱物資産の安定的な確保が課題であり、このサプライチェーンをどうすべきかが議論されているようです。

その中で、鉱物資源の安定供給確保に向けた検討として、「海洋鉱物資源開発に向けた取組」として資料には次のように記載されていいます。

我が国の領海・排他的経済水域EEZ)の広さは世界第6位を誇り、その海底には、海底熱水鉱床コバルトリッチクラストマンガン団塊レアアース泥等の海洋鉱物資源の存在が確認されている。 経済産業省は、「海洋基本計画」に基づき、資源量の把握、生産技術の開発等を推進。
 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、鉱物資源の安定供給を強化する上では、国産の海洋鉱物資源開発に向けた取組も進めていくことが必要

また、レアアースの中にコバルトリッチクラフトというものがありますが、これはリチウムイオン電池製造のために不可欠は鉱物資源ですが、これについては次のような記載があります。

コバルトリッチクラスト掘削性能試験】
 令和2年7月、JOGMECは、南鳥島海域において、コバルトリッチクラストの掘削性能試験を実施し、コバルト・ニッケル等のレアメタルを含む鉱石片を試験的に掘削・回収することに成功。 本試験によって取得したドラムカッター性能や鉱石片の回収効率等のデータを元に、今後、掘削機の改良に向けた検討に着手する

鉱物資産の開発は長期的での取り組みが求められるのですが、脱炭素化を進める上でレアアース等の鉱物資産の自給率化を高めるというのは日本の課題ですが、今後は、これに向けて取り組みが急速に進むのだと思います。ということで、海洋鉱物資源の掘削等は今後の投資テーマとして有望と考えます。もっとも、海洋資源の掘削技術には解決すべき技術的ハードルもあるようですので、今後の行方は何とも言えないところですので、今後の政府の動きの情報収集は怠らないようにすることが重要です。