中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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戸田建設が株主提案の受領を公表 ー そして買収防衛策を継続するようですが・・・

昨日からゴールデンウィークに入り、私の場合は、5月7日まで9連休となります。今年は海外・国内とも旅行に出る人が大きく増加するようですね。という私も家族でこの連休中に車で国内旅行を予定しています。

さて、先週の日経新聞にも記事がありましたが、戸田建設が海外の投資信託から株主提案を受けたようです。ロンシャン・SICAVという株主のようですね。次のとおりプレスリリースを公表しています。

https://www.toda.co.jp/assets/pdf/kabunushiteian.pdf

戸田建設に限らず、ゼネコンは投資ファンドやアクティビストとの攻防が暫く続きそうですね。そして、戸田建設といえば、事前警告型の買収防衛策を有しており、更新期限が本年6月に到来しますが、継続更新することを決定したようです。勿論、株主総会で株主の賛同を得るという条件付きです。次がプレスリリースになります。

https://www.toda.co.jp/assets/pdf/baishubouei.pdf

一般的に事前警告型の買収防衛策は国内・海外の機関投資家の多くが反対していますが、そのような中でも票読みをした結果、過半数の賛成が得られるであろうとの判断の下での継続更新の決定かと想像します。

プレスには「取締役の過半数を占める独立社外取締役 4 名を含む全取締役 7 名の賛成により決議」とあります。社外取が過半数存在することは、国内機関投資家の賛同を得るための最低要件になってきているので、この最低要件はクリアーしているということです。

戸田建設の海外機関投資家保有比率は知りませんが、議決権行使助言会社ISSは賛成推奨するのでしょうか?海外の株主比率が高い場合、ISSが反対推奨をした場合には海外分の反対が増えることになります。基本的にISSが事前警告型の買収防衛策に賛成推奨することはないはずですので、反対推奨をした場合、企業は反論を開示するということが海外機関投資家の賛成を得るための1つの方策として考えられます。

けど、そもそも事前警告型を継続更新することは、却って投資ファンドからつつかれる材料を作ることになるような気もしますが、このあたりはどうでしょうか? 仮に継続更新したとしても、後日、投資ファンドが買収防衛策の廃止を求めて、臨時株主総会の招集請求をするようなことも法的にはあり得るのでは。

ということを考えると、継続更新はせずに有事型の対応方針を事務方が法律事務所のアドバイスを受けてしっかり準備をしておき(有事型を取締役会で決議すると適時開示になってしまうので要注意)、有事の際に導入するという有事型の買収防衛策の選択もあるのだとは思います。このあたりも十分に検討された上での事前警告型の継続なのだとは想像しますが、株主総会でどの程度の賛成率が得られるか(勿論、安定株主比率が高ければ相当程度の賛成率は得られますが)、総会後の臨時報告書を待ちたいと思います。