三井住友アセットマネジメントが2018年7月から2019年6月の間の投資先企業の株主総会の議決権行使結果の個別開示をしました。
買収防衛策については、67件中、賛成は5件です。賛成した銘柄は、亀田製菓(2270)、アネスト岩田(6381)、フジテック(7406)、タカラトミー(7867)、東海東京ファイナンス(8616)になります。
タカラトミーは、本年5月15日に決算説明会の質疑応答概要を公表しており、その中に買収防衛策に関する質疑応答がありますので、抜粋します。
「Q 買収防衛策を継続する背景を説明してほしい。」
「A.(代表取締役社長:小島)当社は、創業以来、優良なものを子どもたちに提供し、「健全な子ども文化の育成」に努めてまいりました。当社の大切としている創業理念等に賛同する方が株主になることはやぶさかではありませんが、当社が保有しているIPを分解したり、これまで行っている社会貢献活動をやらなくなるなどが生ずる場合、そのような方が適切な買収者であると言えるのか、という考え方はあると思います。そこで、当社に興味のある方が、どの様な意図を持って、今後どうしていきたいのかを説明いただくための時間が必要であると考えております。どういう方が手を上げているかをしっかりと見て、株主の皆様にも確認するプロセスが必要と判断し、買収防衛策を設けています。今回の買収防衛策の継続に係るスキームは、3 年前(前回)に比べると、より透明性を高めるなど工夫をしております。当社は、対抗策発動に際して取締役会の恣意性が入らないよう、特別委員会は独立役員として届け出た社外取締役で組成し、その特別委員会の実質的な判断に基づいて進めてまいります。株主の皆様に疑念を持たれないような形でオペレーションさせていただければと考えています。」
興味深いのは、社会貢献活動をしなくなる買収者が適切であるのかをあげている点です。
タカラトミーが社会貢献活動をどこまで本気で考えているのか私にはわかりませんが、ESG投資の動きの中で、投資家の賛同を得るにプラスになる良い理由と思いました。1つの参考になると思います。
書き忘れていましたが、三井住友アセットの議決権行使基準での買収防衛策の議決権基準ですが、「原則反対とするが、一定の条件を全て満たす場合は賛成することがある」としています。
一定の条件は10項目程度あるのですが、このうち、私がポイントになると思う点をあげます。
- 合理的な理由説明がある場合
- 発動に際し、必ず株主意志確認総会を開催する場合
- 発動に当たって、社外取締役及び独立委員会が十分に関与する場合
- 開催日の29日前までに招集通知が開示される場合
参考にして頂ければと思います。