中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

ナガホリ(8139)が株式買い集め行為に対して買収防衛策を導入 ー 有事導入型の買収防衛策

宝飾品の製造卸大手のナガホリ(8139)がリ・ジェネレーションという会社による株式買い集めに対して、買収防衛策を導入することを決定したようです。

http://www.nagahori.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/04/62_taiouhoushin.pdf

有事導入型の買収防衛策であり、プレスリリースの4ページにも「本対応方針は、既に開始されている本株式買集めを踏まえ、大規模買付行為等への対応を主たる目的として導入されるものであり、平時に導入されるいわゆる買収防衛策とは異なるものです」との記載があります。平時導入型は株主の賛同を得るのが昨今難しいのですが、それとは異なりますということを強調したいのかも知れません。

また、取締役会決議で導入するものの6月の株主総会に諮るようですね。プレスリリースの4ページの次の記載があります(太字は私が強調のため印をつけました)。

本対応方針は、本取締役会の決議により導入するものですが、株主の皆様のご意思をより反映させるという観点から、2022 年6月29日に開催予定の当社第61回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)において議案としてお諮りさせていただくことを予定しております。なお、本対応方針の導入につきましては、本取締役会において、独立社外取締役 1 名を含む当社取締役全員の賛成によって承認されており、独立社外監査役 3名から成る当社監査役全員も、本対応方針の具体的運用が適正に行われることを条件に、本対応方針に同意しております。また、本対応方針は、本日付けで効力を生じるものとしますが、本定時株主総会において上記議案につ
き、株主の皆様のご承認が得られなかった場合には、直ちに廃止されるものとします。 

最近の判例を踏まえ、有事導入型の買収防衛策は後日に株主総会に諮り賛同を得るというのが買収防衛策実務の定石になってきています。ナガホリの有報で株主構成は見ていませんが、株主総会過半数の賛同は得られるでしょうか。

こういうケースを見るたびに平時から株主や投資家とのエンゲージメントを充実させ、自社の理解を深める取り組み、つまり仮に今は業績が悪くても将来の事業方向性を経営トップが自分の言葉で機関投資家と時間をかけて対話を行うとことがとても重要になってくるなとつくづく思います。日頃の関係構築が何より重要になるということです。