中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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東洋建設が株主総会の買収防衛策議案を総会直前で取り下げ

昨日は投資先の某銘柄のIR部門に長々と質問のメールをしました。この企業のIR部門の方には1年以上に亘り、四半期決算の都度、時々質問をしているのですが、毎回、丁寧に回答を頂き、ありがたいことです。株主総会に出席して質問をしたいのですが、平日は休みをとるのもなかなか難しいのが悩ましいところです。IR部門の方には工場見学会の機会を作って欲しい旨も伝えました。

さて、東洋建設の株主総会が明日、開催の予定ですが、東洋建設は買収防衛策議案を取り下げることを決定したようです。

https://www.toyo-const.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/06/20220623.pdf

このプレスリリースの中で次の記述がありますので、一部抜粋します。

当社は、両誓約をも踏まえて、株主の皆様に対して十分な情報を提供し、熟慮に基づき本公開買付けを含む大規模買付行為等の是非をご判断いただくことができる環境をより一層確保するという観点から、本日までの間、YFO との協議を継続してまいりました。その結果、当社としては、上記の各書簡及び本日までの間のYFOとの協議の内容から、YFOグループが、(i)本対応方針所定の情報の提供については最大限の努力を尽くすこと、及び、(ii)当社株式の追加取得についても、2023 年 5 月 24 日までの間、株式公開買付けであると市場内買付け等であるとを問わず、本定時株主総会で新たに選任される当社取締役会が同意しない限りは一切行わないことを、それぞれ誓約したものと理解したため、当社取締役会が十分な交渉力を確保した形で本公開買付けの申込みにつき YFO との間で実効的な協議を行うことを可能とする環境を確保するという本対応方針の目的は一応達成されていると考えられることから、YFO から本議案を取り下げるよう繰り返し強い要請があったことも踏まえ、YFO との間で友好的かつ実効的な協議が行われることを阻害しないよう、真摯にYFO との協議に臨むという当社としての姿勢を示すためにも、本日、当社取締役会において、本定時株主総会においては本議案を上程せず、取り下げることを決定いたしました

もっともらしい理由が記載されてはいますが、本音としては本日まで議案の賛成率の票読みをした結果、厳しい結果に終わったので取り下げたということではないのかなと私は想像します。総会の前日に取り下げていますからね。議決権行使助言会社のISSが反対推奨をしたことが大きかったのかも知れませんね。MOM要件の株主総会決議にもしないのですね。

ということを考えると、買収防衛策は平時に導入しておくことがやはり無難ですね。