コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

機関投資家協働対話フォーラム ー 「資本市場の評価を下げるリスクを踏まえた買収防衛策の必要性の開示」

機関投資家協働対話フォーラムをご存じでしょうか? 機関投資家の適切なスチュワードシップ活動に資するよう、機関投資家が協働で行う企業との建設的な「目的を持った対話」を支援する目的で2017年10月に設立された一般社団法人です。

参加している機関投資家は、企業年金連合会第一生命保険、三井住友DSアセットマネジメント、三井住友トラスト・アセットマネジメント、三菱UFJ信託銀行、明治安田アセットマネジメント、りそなアセットマネジメントになります。このフォーラムは、定期的に課題と考えるテーマをあげて、その課題を持つ上場企業各社にレターを送付して、対話や開示を求めています。

少し前になるのですが、本年の5月、6月には「資本市場の評価を下げるリスクを踏まえた買収防衛策の必要性」というレターを送付しています。

https://www.iicef.jp/pdf/jp/pdf_jp_20210507.pdf?20210610_1

要は事前警告型買収防衛策を持つ企業に対して、廃止を求める内容のレターです。この中で次のような記述があります。

まず最初に、日本は法制度の整備が不十分という見方がありますが、金融商品取引法TOB ルールでは、潜脱的な支配権取得取引への規制や全部買付義務があるとともに、会社側は意見表明報告書の提出を通じて買付者に関する情報や、検討期間の確保と情報開示を求めることができます。また、株主総会における承認等をもって新株予約権を用いた有事型の買収防衛策の発動を認める判例や、敵対的買収よりも低い価格でホワイトナイトに対して株式を売却した場合の役員責任を否定する判例なども出されました。一度、買収防衛策を廃止した後でも、有事型の発動を株主総会に諮り、株主総会で承認可決された事例も出ました。

この中で太字の箇所がポイントになります。これと同じような内容のレターはフォーラムは過去にも送付していますが、この太字の箇所は今回はじめて追加されました。ブログでも何度か書いていますが、事後導入型の買収防衛策を肯定する判例が出たことはこの1年での大きな変化点です。これは対話フォーラムのレターですが、このフォーラムに参加している機関投資家以外でも同じような問題意識を持つ機関投資家はかなり多いのが現状です。事前警告型の買収防衛策を有する企業は、来年の更新においては、機関投資家から厳しい質問が出ることが予想されます。

買収防衛策の実務ご担当者で、「来年の継続更新に向けてどうすべきか判断にまよっている」、「機関投資家の賛同を得るにはどういうスキームにすべきか」など何か不明な点などあれば、本ブログのお問い合わせ先からお気軽にご連絡を頂ければ、私の分かる範囲でアドバイスをさせて頂きます。