中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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東洋建設の買収防衛策についてのYamauchi-No. 10 Family Officeの考えが公表されました

コロナの感染者も激減し、経済復活の動きの中で、未だにマスクを着けて歩いている人がとても多いですね。この休日も暑い中、普通に住宅街を歩くのにマスクを着けている人がとても多くて、どうなっているのでしょうかね?理由は単純で、人の目を気にしてマスクが外せないのだと思いますが。

50年後の日本の中学校の歴史の教科書には、「50年前にコロナが世界で大流行して、海外では終息に向かいつつある中、欧米の国民は早々にマスクを外してコロナ前の生活に戻ったが、日本のみほとんどの国民が、一歩家を出た瞬間からマスクが外せない生活が終息後も数年間続き・・」ということが必ず記載されるのだと思います。それを読んだ50年後の中学生は、「50年前の日本人って、欧米に比べて医学に対する知識がとても遅れていた、かわいそうな方々だったんだね。医学の発達した現代に生まれてよかった」という話にきっとなるのだと思います。とすると現時点の日本人は、とても滑稽な日常生活を送っているということかと思います。満員の通勤電車の中はまだしも、人と肩が触れ合うわけでもない通勤途中の徒歩でマスクを着けるのは、一般常識に照らしてナンセンスの極みですから、そこそこの大学を出た教養のある中流層クラス大人は、そろそろマスク生活はやめませんかといいたいところです。

さて、本題ですが、東洋建設の買収防衛策に対してYamauchi-No. 10 Family Officeが買収防衛策に対する考えを次のとおり公表しています。

東洋建設(証券コード:1890)の買収防衛策についてのYFOの考えについて|Yamauchi-No.10 Family Officeのプレスリリース

「買収防衛策の導入により、YFOによる1株当たり1,000円での買収提案の実現可能性が大幅に減少します。 株主の皆様におかれましては、より魅力的な価格での株式売却機会を確保するため、定時株主総会において、第5号議案に反対していただけますようお願いいたします」という表現が5ページに掲載されています。当然の主張かと思います。株主は1,000円で株式を売れる機会があるのですから、それを妨げるというのが買収防衛策の大きな問題です。

過去に市場株価にプレミアムを乗じたTOB価格で敵対的買収を提案され、企業が買収防衛策を発動した企業が複数ありますが、いずれの企業とも現在の市場株価は、当時のTOB価格を上回っていないと思います。株主がキャピタルゲインを得る機会を奪う点が買収防衛策の最大の問題です。有事で買収防衛策を導入する企業は、株価をいつまでにTOBを上回る状態にもっていくのか、そこを明確にすることが必要と思います。

既存株主に十分な情報と機会を提供するという東洋建設の主張に対しては、7ページに十分な情報提供をしていることが記載されています。機関投資家はYamauchi-No. 10 Family Officeに賛同するところが多いように私は予想していますが、どうでしょうか?Yamauchi-No. 10 Family Officeの買収後の具体的な事業運営方針について、機関投資家がどう判断するかがポイントの1つのようにも思います。

ところで、東洋建設の安定株主の方は、今回のYamauchi-No. 10 Family Officeの提案書をじっくり読む必要があると思います。その上で議決権を行使しないと自社の株主から突き上げをくらうことになるように思います。株主に対する説明責任をなめてはいけません。個人株主といえど牙をむく時代です。