富士興産とアスリードキャピタルの攻防ですが、アスリードキャピタルはTOBを撤回したようですね。本日、富士興産が次のとおりプレスリリースを出しています。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/5009/tdnet/2019285/00.pdf
富士興産の買収防衛策に基づく対抗措置の発動に対するアスリードの差止めの申立てが東京高裁で棄却されたことが影響しているのだと想像します。フリージアマクロスと日邦産業の攻防でもフリージアは、名古屋高裁の対抗措置発動を認める判決後にTOBを撤回しています。
となると、有事の際の取締役会の決議での導入、後日、株主総会で導入について株主の賛同を得るという特定標的型の有事導入型の実務が形成されつつあるということかと思われます。機関投資家の反対の多い、事前警告型の買収防衛策の必要性は今後低下すると思います。勿論、有事導入型がどこまで一般化できるかは分析が必要ではありますが。このアスリードの件も、後日、旬刊商事法務で解説記事が掲載されるのだと思います。一連の経緯をアップデートしておきます。
- 4月28日 アスリード:富士興産に対するTOBの開始
- 5月17日 富士興産:TOBに対して意見表明の留保
- 5月24日 富士興産:取締役会決議で買収防衛策を導入
- 5月28日 富士興産:TOBに対して反対の意見表明
- 5月28日 富士興産:株主意思確認総会で買収防衛策導入議案上程の決定
- 6月 4日 富士興産:主要株主の異動(重田光時氏 10.12%)
- 6月11日 富士興産:取締役会決議により買収防衛策の対抗措置発動
- 6月11日 アスリード:東京地裁に新株予約権無償割当の差止仮処分申立て
- 6月15日 アスリード:TOB期間を延長(6月14日 ⇒ 7月9日)
- 6月23日 東京地裁:仮処分申立てについて棄却を決定
- 6月23日 アスリード:東京地裁の決定を受けて即時抗告の申立て
- 6月24日 富士興産:臨時株主総会を開催し買収防衛策の導入が承認
- 7月15日 富士興産:新株予約権無償割当の基準日公告(基準日7月31日)
- 7月21日 アスリード:TOB期間を延長(7月28日 ⇒ 8月5日)
- 8月 4日 アスリード:TOB期間を延長(8月 5日 ⇒ 8月19日)
- 8月10日 東京高裁:アスリードの即時抗告の棄却決定
- 8月11日 アスリード:TOB期間を延長(8月19日 ⇒ 8月25日)
- 8月24日 アスリード:富士興産に対するTOBを撤回