本日は久しぶりに富士興産とアスリードキャピタルの記事を書きます。アスリードキャピタルが富士興産にTOBをしたところ、富士興産が株主総会の承認を得て買収防衛策を発動、東京高裁でその効力が争われましたが、結局富士興産が勝ち、アスリードは8月下旬にTOBを撤回していました。
本日、アスリードキャピタルは、次のとおり今後の対話方針を公表しました。
TOBは撤回したものの、依然として富士興産の大株主であるので、建設的な対話をしていくという内容です。次のような記述があります。
富士興産より新中期経営計画も発表されましたが、株価は本公開買付価格であった1株当たり1,250円を残念ながら下回ったままとなっています。他の株主の皆様におかれましても本公開買付けに反対意見を表明した経営陣が、その後本公開買付価格を上回る株価を実現していないことに対して不甲斐ない思いを抱いていらっしゃる方も多いことと思います。富士興産は2021年5月28日のプレスリリースの中で、本公開買付価格は当社の企業価値を適正に反映しておらず、アスリード・キャピタル以外の者も募り、内部資料も提供し新中期経営計画に基づくインカムアプローチでの企業価値も含めて企業価値評価をした参加者から、有利な条件を引き出した上で、株式を売却する選択肢もあるなどと主張していましたが、現在までに本公開買付価格を上回る施策は提示されていません。アスリード・キャピタルとしては、富士興産経営陣との対話活動を通じて、今後どのように本公開買付価格の1,250円を上回る施策を講じていくのか説明と適切な新たな施策の検討を求めていきたいと考えています。
先日ブログでも書きましたがTOBを防いだもののTOB価格を大きく下回った株価のケースとして芝浦機械の例をあげました。この時に投資ファンドとの裁判で勝ったからといって企業は安心はできませんと書きましたが、まさしくその典型例かと思います。この時のブログを最後に再掲します。
富士興産はこのままの低い株価が続くとすると、アスリードが今後本格的に攻撃をしかけた際には、他の株主の賛同を得るのは難しいかも知れません。富士興産は株価向上施策を今後講じる必要が高く、また株価が相当程度向上した段階でアスリードが退出する可能性もあるかと思います。本件も今後まだまだ続きそうですので、ウォッチしたいと思います。