中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

SBIと新生銀行の攻防(第11回) ー 買収防衛策の発動に向けての動きを一時見送り

本日の日経新聞で「三菱商事、政策保有株6割減」との記事が大きく掲載されていました。この10年間で政策保有株式の銘柄数が減った企業の第1位が三菱商事ということのようです。第17位には西松建設があります。西松建設はアクティビストのシティインデックスイレブンスが大株主となり、さんざん圧力をかけられていました。

さて、SBITOB期間を延長したことを受けて、新生銀行の買収防衛策の対抗措置の発動がどうなるか気になっていましたが、本日、新生銀行は次のプレスリリースを公表しました。

https://www.shinseibank.com/corporate/news/pdf/pdf2021/211001_Announcement_j.pdf

これは何かといいますと、株主意思確認総会の議決権行使と暫定措置としての新株予約権の無償割当ての基準日を10月13日としていたところ、新株予約権の無償割当ての実施を見送った、つまり対抗措置発動を見送ったという内容です。

ただし、「10 月 13 日(水曜日)を基準日とする当行の臨時株主総会は引き続き開催をする可能性がありますため、この点はご留意くださいますようお願い申し上げます」とあり、今後、SBITOBの内容を検討した上で、株主総会で買収防衛策の導入・発動を諮る可能性はあり得るということになっています。

なお、これに対して、SBIは次のとおり「当社らからの質問項目に対する株式会社新生銀行証券コード:8303)からの回答状況に関するお知らせ」を公表しています。

https://www.sbigroup.co.jp/news/pdf/2021/1001_a.pdf

9月 24 日付のSBIの質問項目について可及的速やかに新生銀行が回答すること、SBIの要請した4つの事項を新生銀行が遵守することを要請するということです。4つの遵守事項とは次になります。

  1. 新生銀行の株主の皆様がSBIによる本公開買付けに応募するかを判断する上で重要性の低い追加質問等は行わず、いたずらに検討の期間を延ばさないこと
  2. 新生銀行の取締役会が対抗措置の発動について株主意思確認総会で賛否を問う場合には、本公開買付けが「企業価値および会社の利益ひいては株主の共同の利益を著しく毀損する」と判断される具体的な根拠を説明すること
  3.  株主意思確認総会を開催するとしても、実務上可能な限り最短のタイミングで開催すること
  4. 株主意思確認総会を開催するとしても、公正な形で開催すること

4は、株主意思確認総会を開催するとしても、東京機械製作所がしたような特定株主の議決権を算定から除外するといったことは行うなということでしたね。