本日4月11日(土)の日本経済新聞に「豪、中国勢の投資に歯止め」との記事が出ていました。
オーストラリアが中国からの投資に一段と警戒を努めているということです。オーストラリアの市場株価は、ピーク時から3割強下がり、中国の投資家・企業が「爆買い」に出るのを封じ込めたいということが背景にあるようです。オーストラリアは、一定期間は、海外からのすべての投資案件について、外国投資審査委員会が判断することを義務付けたということです。
これはとても強力な外資規制といえます。私は仕事で必要な情報として、日本の改正外資規制の動向をウォッチしているのですが、米国、ドイツ、EUの規制も以前、大手法律事務所を使い纏めたこともありましたが、結果のみをシンプルにいうと、中国の投資ファンド・事業会社による買収を恐れ、米国、ドイツ、EUは外資規制をかなり強化しています。
日本も外為法の外資規制が昨年改正され、「コア業種」に該当する企業の株式の1%超を海外投資家が取得して、アクティビスト活動等をする際には政府への事前届出と許可が必要になります。
改正外為法の施行は本年5月~6月頃を財務省は考えており、「コア業種」といった事前取得対象に入る企業と入らない企業のリストアップを進めており、その公表と改正外為法の施行はセットになる予定と私は理解しています。
日本は外資規制が強化されるといっても欧米に比べるとまだまだ弱いような気がします。原子力、武器といった国の安全にかかわる業種への投資は強化されますが、ここに該当しない企業の株式は比較的容易に取得できるからです。
日本企業の株価低迷は暫くの間続くと思いますが、資金の潤沢な中国アクティビスト、中国事業会社にとって今は株式を取得する千載一遇の機会と思います。
中国企業が日本企業に買収を提案した場合、これに賛同する機関投資家や個人投資家は今後かなり増えることが予想されます。なぜならばその結果、事業売却やリストラが実施され、株価が高まるからです。
コロナ感染の影響が続く中、日本企業は本業をどうするかで頭がいっぱいかと思います。そのような中で、アクティビストの足音が近づいているという事実もあります。ここにしっかりと対処する必要があります。
投資銀行によれば、アクティビストに入られた場合、経営がかきまわされ、その対応ばかりを経営陣は考えることになり、長期での戦略策定が出来なくなると良く言われます。