コロナの勢いがおさまらない状況下、東京オリンピック開催の慎重論が組織委の複数の理事らから出ているようですね。ヤフーニュースによれば、この理事らは世界中での新型コロナ感染拡大の状況を踏まえ、厳しい見方を示したということのようです。
バッハ会長が11月11日に会見で「中止の議論はない」と断言しましたが、コロナの欧州での勢いを見ると東京五輪はかなり高い確率で中止になるような気もします(または相当に縮小しての開催)。ということで、東京五輪開催に伴い株価上昇を見込んである銘柄を数ヵ月前に買いましたが、五輪中止で株価が下落する前に一旦売却してキャッシュにする予定です。
さて、前置きが長くなりましたが、最近の新聞報道で役員報酬にESGといった非財務情報を反映させる企業が増えているようです。
本日の日経ヴェリタスでは、戸田建設、セブン&アイ・ホールディングス、丸井グループ、リコー、セイコーエプソンなどがあげられています。海外企業では、スターバックスが2021年度から製造、小売部門の従業員の40%以上を有色人種にするという目標進捗を役員報酬に反映させるということです。
ESGの取組みは企業のリスクを低減することになるので、この取り組みを報酬に反映させるということは、中長期投資をする上で投資家にとって好ましいことだと思います。しかし、ここで投資家が注意すべきことは、このESGの報酬への反映の程度です。つまり、仮に役員の報酬が年収2,000万円とした場合、このESG反映は全体の何パーセントを占めるのかです。上記各社の有報は見ていませんが、恐らく報酬に占めるESG要素の寄与割合を明確にしていない企業がほとんどではないでしょうか。
とすると、ESGを報酬に反映するということを強調しておきながら実態は全く伴っていないということになります。役員報酬は企業統治において重要な位置を占めるものですが、ESGを本当に真剣に投資家にアピールしたいのであれば、ESG寄与の詳細な指標、当該指標に基づく当期の実績をきちんと開示するのが本来の姿といえます。個人的には、ESGの取組みを報酬に反映するとしたところでESGの取組みは役員個人の力ではいかんともし難いところだと思いますので、役員報酬の多くは当期の業績、株価に連動させることで足るように思います。
暇なときに、ESGを報酬に反映させていることをアピールしている企業の役員報酬設計を一度調べてみたいと思います。少し前に日経新聞でガバナンス上位企業が掲載されており、上位5社が、荏原、オリンパス、花王、キリンホールディングス、塩野義製薬でしたので、このあたりの企業が対象になります。ちなみに、私が集中投資する中小型銘柄(時価総額30億円~400億円)の役員報酬はESGは全く反映していない設計になっています。ある意味、安心しました。
ところで役員報酬については、以前にブログで書いておりますので以下はご参考までに紹介させていただきます。