コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

個人投資家のための投資先銘柄の役員報酬の見方

本日の日経新聞で「役員報酬開示 なお限定的」との記事がありました。改正で役員報酬の開示を拡充する企業が増えたが、開示のレベル感に差があるということです。

役員報酬の開示についは、2018年度以降の有価証券報告書(有報)から開示が大きく変わりました。前にもブログで書いたことがありますが、開示項目の充実が求められ、その内容は次のとおりです。観点としては、報酬プログラム、報酬実績と業績との関連性、報酬決定プロセスです。

  • 業績連動報酬と業績連動報酬以外の報酬の支給割合の決定方針(方針を定めているとき)の開示
  • 業績連動報酬にかかる指標と当該指標の選定理由、支給額の決定方法の開示
  • 最近事業年度の業績連動報酬にかかる指標(KPI)の目標及び実績
  • 「報酬の決定に関する方針」の決定権限を有する者の氏名・名称、権限の内容・裁量範囲
  • 「報酬の決定に関する方針」の決定に関与する任意の報酬委員会等が存在する場合における手続の概要

ポイントは、世の中の動向にあわせて業績連動報酬を採用する企業が増えてきたが、その内容が抽象的なケースが多いので、何に連動するのかの指標を開示すること、その指標との連動の結果を開示せよということであるかと思います。

新聞報道によれば、好事例として、三菱商事セガサミーホールディングがあげられています。これ以外にも好事例とされている企業例は実は結構あり、これについては、金融庁が有報開示の好事例集を次のURLのとおり公表しています。これによれば、味の素、三菱UFJ日本電産伊藤忠商事などがあげられています。

金融庁 https://www.fsa.go.jp/news/r1/singi/20191220.html

なお、海外では、報酬について相当に詳細な開示をするケースも多く、報酬は投資家にとっての大きな関心事項です。米国では経営トップが巨額の数十億円という報酬を得るケースも多く、それだけ報酬制度に投資家の関心が高くなるのは当然と言えば当然かも知れません。

個人投資家の方は、自社の投資先銘柄の有価証券報告書を一度読んでみて、「役員の報酬は固定報酬だけになっていないか?」(固定報酬だけはダメなケースです)、「業績連動の割合はどの程度か?」「業績連動の指標は何を採用しいるのか?」「本年の指標と業績の連動は適切であるか?」という視点からじっくり読み、読んだだけではわからない場合、その開示は不親切ということですので、企業のIR部門に質問をするとよいかも知れません。

東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドが業績不振を理由に役員報酬の削減をするようですが、オリエンタルランド有価証券報告書の報酬設計なども眺めて見るとよいかも知れません。