明日は久しぶりに国内出張で長野県です。長野は家族旅行で軽井沢に2~3回行ったことしかありませんが、空気の綺麗なところであり楽しみです。話は変わりますが、本日はある海外の機関投資家の日本株担当の方とエンゲージメントをしたのですが、人的資本等の人にかかわる関心が高いですね。非常に勉強になる1時間の対話でした。得た知識は使ってなんぼですので、自分の投資先の企業にも早速質問をしてみる予定です。人的資本に関する機関投資家の関心事項は後日、記事でも紹介したいと思います。
さて、本日は1つ記事を紹介します、本日の日経新聞にシダックスがオイシックス・ラ・大地によるTOBを巡る対応で取締役会が機能していなかったとの調査委員会の報告書を公表したということで次の記事がありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC318AO0R30C23A5000000/
面白ろそうでしたので、シダックスのホームページを見たところ次の報告書が開示されていました。
https://pdf.irpocket.com/C4837/CaoZ/bevT/BhDI.pdf
この中でガバナンス・内部統制システムの不全として次の記載があります(太字の箇所は、強調のため私がつけました)。
(1)ガバナンス・内部統制システムの不全
本公開買付けへの対応等について、経営陣の中で意見対立が生じ、事実上、創業家側取締役等とそれ以外の取締役等に分断された際に、取締役会の中で議論を深めることによって意見集約するのではなく、対立関係を先鋭化させた点において、基本的に取締役会のガバナンスが機能していなかった。創業家側取締役等としては、本公開買付けへの対応にあたり、特別利害関係取締役である点を踏まえてより慎重で公正な対応を行うべきで、創業家以外の特別利害関係のない3名の取締役が会社法に従い取締役会として本公開買付けについて反対の意見表明の決議をした事実を誠実に受けとめ、当該取締役会決議を遵守すべきであった。加えて、上場企業である当社の一部職員が当社ではなく創業家のための業務に従事することを、当社の他の役職員が黙認・容認してきたことは、利益相反的行為を助長することとなった。その一方で、創業家以外の取締役等においては、創業家側取締役を排除した上で創業家の意向に反対する決議をしているところ、それが会社法上本来的に求められる決議方法であるとしても、創業家側取締役との間で真摯かつ徹底した協議により解決策を探るなどの意思疎通を図るべきであった。
詳細は良く分かりませんが、要するに内輪で揉めたということですかね。シダックスに限らず、組織があれば内輪揉めがあるのは良く聞く話ではありますが。
ここからは一般論になりますが、この報告書を読んで思ったのは、取締役会は一枚岩になっているか否かが機能発揮には重要だなと最近思います。特に社外取同士の連携は重要ですね。いくら立派な方が社外取に名を連ねていても、チームとして機能していないと効果は発揮できません。取締役会の員数が10名で、社外取が6名というような場合、この6名は連携しているのかということです。自分の事以外は関心がないというスタンスではなく(私は専らこのスタンスですが)、有益な情報があれば積極的に社外取間で共有したり、社外取だけの会合を開いているか等です。「なんだそんなことか」と思われる方も多いと思いますが、結構大事です。
個人投資家の方も自分の投資先企業の社外同士取の連携、社外取と社内取は連携が十分か株主総会で質問をするのも良いかも知れません。