中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

安定株主の投資先企業への議決権行使の透明性が今後求められるか? ー 議決権行使結果の個別開示

本日はアマゾンで本を注文しました。中長期投資をする方はご存じの方も多いかと思いますが、「投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識」です。著者は、世界最大級の投資運用会社「オークツリー・キャピタル・マネジメント」の共同創業者兼会長の方ですね。後日、ブログでも書籍紹介を出来ればと思います。

さて、最近、時々アクティビストである投資ファンドのストラテジックキャピタルのホームページを見ているのですが、日本証券金融への株主提案の予定に関する特設サイトを開設したようですね。

日本証券金融株式会社〜日証金のガバナンス改革〜 株式会社ストラテジックキャピタル

非常に興味深い内容ですね。日証金筆頭株主は、シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズ(SFP)ということですが、株主提案として、日証金に対してSFPから行われた重要提案の内容を開示することを求めていくようですね。「日証金は、SFPと今までどのような対話を行ってきたのか、そして、SFPが天下りの調査議案に反対する直前にSFPとどのような対話を行ったのか、一般株主へ開示すべきです」との記載があります。機関投資家と企業の対話の内容は開示が求められていく方向にあると思いますが、その方向に沿った主張であるかなと感じます。

これまでもストラテジックのいくつかの企業に対する株主提案を見てきましたが、コーポレートガバナンス・コードに照らして合理性の高いものが多いですね。なかなか株主提案が可決されるまでには至りませんが、ストラテジックの提案を受けている企業の株主は真摯に提案内容を検討する必要があります。

日本の株式市場で問題なのは、企業の大株主である安定株主と言われています。機関投資家はこの数年で株主総会において合理的な判断をする傾向が強まりましたが、安定株主はまだまだですね。金融機関、生損保、取引先です。

これらは機関投資家ではないため、議決権行使結果の個別開示の義務がないので、今のところは何も考えずに会社提案に賛成していても全く問題はないのですが、将来的には、議決権行使の透明性が求められることになると思います。

2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂されていますが、3年毎に改訂されるとすると2024年6月が改訂です。金融庁のフォローアップ会議で6月以降に議論が始まるでしょうか?個人的には安定株主の議決権行使結果の個別開示などが今後の論点の1つになるような気がします。となると企業には一大事ですね。