中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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投資ファンドのストラテジックキャピタルの株主議決権行使基準を読みました

先日、アクティビストと言われている投資ファンドのストラテジックキャピタルパートナーズが投資先企業の蝶理企業価値向上に関する特別ホームページを開設しました。

 そこで、同社のホームページにアクセスしたところ議決権行使基準がありざっと読んでみました。これまでに同社の投資先企業に対する株主提案は見ており、おおよその思想は理解していましたが、あらためて読んだ内容について、以下、一部を紹介いたします。

 ◎取締役の選任に関する議決権行使基準

 次のいずれかに該当する場合、新任取締役を除く全取締役に反対する。

  • WACC及びその算定根拠を開示していない
  • 過去3期平均のRORが株主資本コスト未満、かつ、株主資本コスト以上のROEを経営目標にしていない
  • 政策保有株式を保有し、売却完了期限などの具体的処分案を示していない
  • 買収防衛策が存在し、撤廃方針を公表していない
  • 経営陣幹部・取締役の報酬決定方針と手続が未公表
  • 代表取締役経験者が顧問、相談役等に就任している
  • 指名委員会等設置会社であって、真正社外取締役が取締役総数の過半数でない 等

 アクティビストといわれる投資ファンドの議決権行使基準としては何ら驚くべき内容ではありませんが(エフィッシモキャピタルは取締役選任基準にTSRを入れておりますがストラテジックは入れていない)、事業会社の方は1つ念頭に置く必要があります。

 それは、上の基準は最近の機関投資家各社の議決権行使基準と本質において同じであると言えるという点です。

だからこそ、投資ファンドの提案に機関投資家が賛同するケースも増えているのです。蝶理に対する提案の詳細はまだ読めていませんが、ストラテジックの該当ホームページの冒頭箇所を見ますと政策保有株式の売却等を求めています。

 ちなみに、ストラテジックの代表である丸木強氏は、東京大学法学部卒、野村證券を経て村上ファンドの村上氏と一緒に仕事をされていたこともあるようです。

ところで、村上氏もそうですが、こういう投資ファンドで活躍する方は、東京大学一橋大学といった超一流大学を出ている方が多いです。そもそもとして、今の40代、50代の方で一流大学を出た優秀な文系の人の多くは、製造業などには普通は就職せず、総合商社かメガバンク、生損保などの大手金融に就職しているので、当然と言えば当然ではありますが。

さて、 次回は、経産省が昨年9月に公表した改訂コーポレートガバナンスシステムガイドライン(CGSガイドライン)を読み解くという題目で数回に分けて気付いたことを紹介します。

3月期決算企業は、株主総会の時期も近づいてきているので、何かの参考になればと思います。