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エーザイ(4523)が買収防衛策を継続更新 - 経営トップの取締役選任議案の賛成率低下を気にしなければエーザイ型も「有り」かと思います

6月19日にエーザイ(4523)が買収防衛策の継続を公表しました。どうするのかなと少し気になっていましたが、継続更新したのですね。

エーザイの買収防衛策は、他社の買収防衛策と大きく異なっています。それは、買収防衛策を事前に導入する上場企業のほとんどが株主総会に議案を上程し、総会の承認をもって新規導入・継続更新しているところ、エーザイは取締役会の決議のみで導入・継続更新している点です。では、これで何が懸念されるのでしょうか?

買収防衛策が総会に議案として上程されないので、当然ですが買収防衛策に対する反対推奨というものはありません。そのかわりに、経営トップへの反対が増えることが問題なのです。

議決権行使助言会社であるISSは、たしか取締役会決議で導入する事前警告型の買収防衛策の場合、経営トップに反対するポリシーです(ちなみに、ISSは、村上氏グループと芝浦機械(当時は東芝機械)との攻防で、芝浦機械の発動した有事導入型の買収防衛策には賛成推奨しています。グラスルイスは反対)。結果、ISSの基準に準拠する海外の機関投資家による経営トップへの反対票が増えます。

次に国内の機関投資家ですが、多くの国内機関投資家ISSと同様に取締役会決議で導入する事前導入型の買収防衛策の場合、議決権行使基準上、経営トップに反対することになっています。

以前にエーザイの昨年の総会後の臨時報告書(総会の議案の賛成率が公表)を見たところ、経営トップへの賛成率がかなり低かったので、本年も同様に経営トップの賛成率が低くなると思います。当然、エーザイはこのことを十分に分析した上で、継続更新しています。6月19日が株主総会でしたので、来週にEDINETに開示されるであろうエーザイの臨時報告書を見ると、経営トップの賛成率が分かります。

買収防衛策策を導入するかどうかは、細かいスキームをどうするかなどを考える前に、自社の株式を保有する大口の国内機関投資家の議決権行使基準(毎年改定されます)を見ることがまず重要です。ただ、見たところで、機関投資家の現在の議決権行使基準上、賛成を期待することはなかなか難しいです。昨年の機関投資家の議決権行使の個別開示結果を見ても、反対するケースがほとんどです。

ただし、賛成が期待できる場合もあります。機関投資家各社の議決権行使基準を読めば明確に書かれているのですが、それは取締役会の構成です。詳細はここでは書きませんので、大手機関投資家(運用会社のことです)のホームページに掲載されている議決権行使基準を一度見てみるとよいかと思います。

あとは時価総額の小さい会社の場合、取締役会の構成は変えなくても、一定規模に成長するまでの期間限定の買収防衛策の必要性を機関投資家にきちんと説明して、納得してもらえれば賛成が一応期待できます。また、アクティビストが実際に入って無理難題の提案を受けている企業も、コロナの状況下では、企業サイドに立つ機関投資家も相当数いるので、こういう会社も賛成が期待できるかと思います。

なお、機関投資家保有比率の低い会社は、細かいスキームなど気にする必要はありません。よっぽど特殊なスキームなら別ですが、たいていの上場企業では、大手又は準大手クラスの法律事務所のアドバイスを踏まえてスキームを策定しているはずですので、ほとんどの会社のスキームに大差はなく、機関投資家の議決権行使基準上、問題となることは普通はないはずです。

さて、エーザイの話は終わりますが、この休みは、新型コロナウィルス関係で、過去に世界で流行したペスト、スペイン風邪チフスなど過去のパンデミックに関するページ数のあまり多くない文庫本を読んでいます。コロナの第2波が来るか否かは保有銘柄の株価に影響を及ぼすところであり気になるのですが(基本的に企業のファンダメンタルズに変化なければ株価が下がった時点で「買い」ですが、第2波がファンダメンタルズに重要な影響を与える可能性が懸念)、そもそもパンデミックについて過去に本を読んだことがないため、先週購入しました。まだ少し読んだだけですが、人類は感染症の戦いの歴史であったことが良く分かります。読んだ後にブログで簡単に紹介をしたいと思います。