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買収防衛策の導入・継続に向けて②- まずは自社の株主構成を見る

前回、買収防衛策の導入・継続に向けての第1回ということで、議決権行使助言会社であるISSの買収防衛策の議決権行使基準について、次のとおり紹介しました。

来年の定時株主総会の時期も近づいてきましたので、来年に買収防衛策の更新期限を迎える企業、来年に新規に買収防衛策の導入を検討する企業も多いかと思います。本日より、実務上、どうすれば買収防衛策を新規導入または継続更新(以下併せて「導入」とします)できるか、もし、導入が出来ない場合にはどうすればよいかについて何回かに分けて紹介したいと思います。

まず最初に買収防衛策を導入するにはどうすればよいでしょうか? 答えはとてもシンプルで、定時株主総会で買収防衛策議案を普通決議事項として上程して、過半数の株主の賛同(50%超の賛成率)を得ればよいのです。

従って、導入検討企業が最初に考えるべきことは、自社の株主構成を見て、果たして過半数の賛成率が得られるか否かです。では、どういう株主構成になっていれば良いのでしょうか?

最初に外国人株主の株式保有比率を見ることが重要です。外国人株主=海外機関投資家ですが、外国人株主比率が50%超の場合、まず買収防衛策議案は否決されると考えるべきでしょう。それは外国人株主は基本的に買収防衛策に反対のスタンスというのが理由です。

議決権行使助言会社であるISS、グラスルイスの賛否推奨基準に従う外国人株主は多く、ISS・グラスルイスは買収防衛策に反対推奨しているがゆえに賛成を得るのが困難です。もっとも最近はステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズをはじめ独自の議決権行使基準で判断する外国人株主も存在するので、外国人株主の全員が反対ということではないのですが、多くは反対するとみていた方が無難です。つまり、外国人株主=反対と見るのです。

では、逆に賛成が確保できる株主は何かというとそれは安定株主です。安定株主とは都銀、地銀、生命保険会社、損害保険会社、持ち合いの事業法人です。これらの株主は基本的に賛成です(とは言え、生命保険会社は最近、少し厳しくなってきました)。

問題は国内機関投資家です。2010年頃には国内機関投資家の多くは賛成でしたが、ここ数年で状況は大きく変化し、買収防衛策をかなり厳しく判断するようになっています。1年前と今でも状況は違います。

従い、安定株主が過半数を占めているような状況でもない限り、この国内機関投資家の賛成票をどう読むか、買収防衛策の導入のカギはここにつきます。実務担当者は国内機関投資家の賛否分析の正確性が問われます。賛成を見込んでシミュレーショをしていたが、結果として総会で過半数の賛成が確保できす、議案が否決されたとなったら目もあてられません。国内機関投資家の賛成票読みがいかに正確に出来るかがポイントです。

次回、国内機関投資家の買収防衛策に対する考え、国内機関投資家が賛成してくれるにはどうすればよいかの実務について説明します。来年、買収防衛策の導入を検討している上場企業の経営トップ、担当役員、実務担当者の方は、是非参考にして頂ければと思います。