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野村アセットマネジメントの議決権行使結果の個別開示-買収防衛策廃止の株主提案への賛成(共同印刷)

野村アセットマネジメント(以下「野村」)が2019年4月から6月に開催された投資先企業の株主総会の議決権行使結果を開示しています。

買収防衛策継続議案ですが、66件中、賛成は0件です(開示資料上は1件とあります。しかし、これは期中で廃止する田淵電機の買収防衛策廃止議案に対して賛成としているので、導入・継続議案への賛成ではありません)。

 野村の買収防衛策議案の議決権行使基準は、原則反対で、次の場合には例外的に賛成となっています。

  • 独立性の高い社外取締役が取締役会の過半数を占めること
  • 長期的な株主価値向上又は株主価値の毀損の防止の観点から設計に問題がないと判断される場合

ところで、共同印刷に対しては、買収防衛策廃止の株主提案があり、野村はこの株主提案に賛成としています。では、どういう提案理由の株主提案かというと次のとおりです(共同印刷株主総会招集通知からの抜粋)。

 <提案の理由>

金融商品取引法による株券等の取得に関する規制が浸透し、株主が適切な判断をするための必要な情報や時間を確保する本プランの導入目的も一定程度担保されるようになったこと、及びコーポレートガバナンス・コードの浸透等、買収防衛策をめぐる近時の外部環境が本プラン導入時とは変化したことなど、当社を取り巻く経営環境は変化しており、当社の企業価値の向上を進める上で、本プランを継続することの意義が低下していると考えます。実際、買収防衛策の導入企業は減っており、ピーク時に比べて3割減少しています(平成30年5月18日付け日本経済新聞〔朝刊〕)。また株式市場は買収防衛策を廃止する企業を評価しているとの指摘もされています(平成30年5月25日付け日本経済新聞〔朝刊〕)」

これに対する取締役会の反論も掲載されていますが、重要なのは、この程度の内容の正直、貧弱な内容の株主提案であっても野村は、株主提案に賛成しているということです。要するに、買収防衛策の廃止という一言をもって株主提案には賛成としていることと同じように思えます。厳しい判断かと思います。

ちなみに、共同印刷は外国人株主比率が10%を下回っていることもあり、株主総会での会社提案の買収防衛策継続更新議案は、承認可決されています。

野村は以前より買収防衛策に厳しいところですが、本年の株主総会で、他の運用機関は買収防衛策議案に対してどのように判断したのかが気になるところです。

各運用会社とも厳しいスタンスであることは容易に想像がつきますが、どういうスキームの買収防衛策には賛成したのか、来年以降に継続更新を検討する企業には、今後の社内検討を進める上で大変気になるところかと思います。

今後も買収防衛策に限定して、主な国内運用機関の個別開示の結果を紹介していきたいと思います。