中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

ユビテック(6662)が2019年6月期の業績予想を下方修正

ユビテック(6662)はカーシェア用車載機器とATM紙幣鑑別センサーが柱の時価総額40億円程度の銘柄です。IoTに注力しており、顔認証というテーマで、かつ低位株のため、将来に期待して4月頃に購入しました。

同社は6月期決算ですが、7月26日に2019年6月期の通期業績の下方修正を発表しました。内容は次のとおりです。

当初予想 売上高 2,152百万円 →  修正後 1,876百万円 △12.8%

当初予想 営業利益  136百万円 →  修正後      131百万円 △ 3.7%  

 開示文には、下方修正の理由として次があげられています。

「2019年6月期の通期連結業績予想に関しまして、カーシェア車載機は販売計画を上回って推移したものの、テレマティクス車載機の販売が減少したことや紙幣鑑別センサモジュールが中国市場におけるキャッシュレス化の影響を受けたことに加え、一部の新製品に展開の遅れが生じたことにより、売上高は前回予想を下回る見通しとなりました。利益面につきましては、売上構成の変化やグループ全体で取り組んでいる事業効率化及びコスト削減効果等により、利益率は向上しましたが売上高の落ち込みをカバーするまでには至らず、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は前回予想を下回る見通しとなりました。」

この銘柄は顔認証というキーワードのみで買ったことから、事業の詳細がよく分かりませんが、来期の予想も気になるところです。カジノでも顔認証システムが検討されているという報道も目にしたことがありますので、それに期待したいと思います。

また、ユビテックは、オリックスが約57%を保有している上場子会社です。上場子会社はコーポレートガバナンス改革の中では、廃止の方向性にあるので、オリックスが完全子会社化を目指し、市場株価に30%~40%のプレミアムを付けてTOBによる買収提案をしたら、売却しようかとも思案中です。

話は変わりますが、上場子会社といえば、日立製作所が、子会社の日立化成を売却することが新聞報道されており、その後、大きな報道は目にしていませんが、7月11日のロイターの報道によれば、日立製作所は8月9日に1次入札を締め切るような報道です。

夏季休暇を前に日立化成は、社長以下の役員及び社員は、自社がどこに売られるのかとても気になるところと思います。

日立製作所は、基本的には「高い札」を入れたところに売却するのでしょうが、売却後は上場廃止になり、また、海外の投資ファンドに売られた日には、グローバルでの景気低迷の見通しの中、日立化成の社員にはとても厳しい状況が予想されます(あくまで個人投資家としての想像です)。

金融再編の場合もそうでしたが、買収後、1年間は現状の役職が維持されますが、1年経過と同時に買収された会社の幹部社員は、徹底したリストラの対象となるにが世の常です。

少しテーマから外れましたが、日立化成の売却の動きについてもウォッチしていきたいと思います。