本日も日経平均株価が上昇しました。本日の終値は昨日より+444円の25,349円でした。コロナワクチンの実用化に向けた動きから、将来の景気回復を市場が期待していることが背景かと思います。
さて、昨日のブログで買収防衛策の導入・継続更新について、今後詳しく紹介していく旨を書きました。業務上の必要性から、日中にオフィスで政策保有株式に関するISSの議決権行使助言方針(ポリシー)を見ていたこともあり、まずはISSの買収防衛策に関するポリシーを本日は説明いたします。
議決権行使に関わる仕事をしている方は精通しているかと思いますが、総会の買収防衛策議案に関しては、ISSは形式審査と個別審査という2つの審査を踏むこととしています。個別審査はケースバイケースで判断しますが、形式審査においては、賛成推奨するための基準が8つほど列挙されています。この8つ全てを充足することが形式審査をパスするためには必要ですが、この中から特にポイントとなる基準を4つほどあげます。
- 取締役の任期が1年であること
- 買収防衛策の特別委員会の委員の全員がISSの独立性基準を満たす社外取締役もしくは社外監査役であること
- 買収防衛策の総継続期間(最初の導入から今回提案されている買収防衛策の有効期間満了までの期間)が3年以内であること
- 株主総会の招集通知が総会の4週間前までに証券取引所のウェブサイトに掲載されていること など
3の基準に関しては、買収防衛策の有効期間は多くの企業では3年としていますので(JFEホールディングスなど2年の企業もあります)、要するに新規導入は認めるが、有効期間満了後の継続更新は認めないということになります。
では、これらの基準をパスすればISSは賛成推奨をするのかというとそんなことはなく、形式審査をパスしても個別審査で反対されるのがほとんどです。従い、結果としては、ISSの形式審査基準に即した対応をする必要性はないということになります。ISSの基準を見るたびに思うのは、ほぼ全ての買収防衛策議案に反対するのであれば、形式審査の基準などわざわざ丁寧に掲げる必要もないのではないかと思います。
ISSは買収防衛策に賛成推奨することはまずないので、ISSのポリシーを採用する機関投資家は買収防衛策の導入・継続議案には反対するということになります。とすると「機関投資家の賛成は期待できないのではないか」と思う人もいるかも知れませんが、そんなことはありません。
それは、全ての機関投資家がISSのポリシーを採用するということはなく、各機関投資家は、自社独自の議決権行使基準を設けており、この基準に従い、買収防衛策議案に賛成する投資家もいるのです。
次回は、機関投資家の買収防衛策議案に対する大きな考え方、賛成基準などのポイントを中心に説明したいと思います。