コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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最近の機関投資家の関心事項 - 企業が留意すべき点(続き)

昨日、最近の機関投資家の関心が強い事項を紹介しましたが、1つ忘れておりました点があります。それは買収防衛策の廃止への機関投資家の関心度合いが1年前に比べて格段に強くなっているような印象を受けます。

理由は単純でアセットオーナーの買収防衛策に対する反対の声が益々強くなり、アセットマネジャーである機関投資家も議決権行使基準を厳格にせざるを得ないということです。ちなみに何かの公表資料を見たところ、昨年の12月末時点で事前警告型の買収防衛策を導入する企業は約280社程度のようで、導入企業数のピークであった2008年の約570社の約半数程度になっています。

買収防衛策に対する風当たりは強まるばかりです。機関投資家の株式保有比率が高い企業の場合には、買収防衛策議案について株主総会で賛成を得るには、独立社外取締役の取締役会に占める比率を過半数にしないと今年の株主総会での賛成はなかなか難しいと思います。その理由は、社外取の過半数の存在を議決権行使基準での賛成条件の1つにしている機関投資家が非常に多くなっているからです。

また、昨年改正された外資規制の細かいところについて意外に理解していない機関投資家も多いような印象を受けます。「御社はコア業種に認定されたのですね。では、海外アクティビストからは政府が守ってくれるので、買収防衛策は不要ですよね」という考えの機関投資家も多いのではないかということです。しかし、これは完全に外資規制の細かいところが理解できていません。コア業種に認定されても、全ての事業がコア業種の認定を受けているわけではなく、また増配・自己株式取得への株主提案は外資規制の対象にならないなど外資規制の網を外れるケースが実はかなり多いのです。

このあたりは、大手上場企業を顧客にしている大手法律事務所を起用してきっちりと外資規制の詳細分析をしないと分からないところではありますが。外資規制については、昨年の6月頃に過去3回にわたりブログで書いておりますので紹介させて頂きます。

ということで、2008年当時と外部環境や法規制に何ら変化がないのに買収防衛策が廃止の一途をたどることで本当に良いのかという疑問はありますが、上場企業のステークホルダーである機関投資家が反対しているのですから、廃止の流れが増えるのは仕方がないとことでもあります。

ただ、脱株主第一主義の流れの中においては、全てのステークホルダーに対して敵対的買収に関する十分な情報提供と検討の機会を与えるという買収防衛策の趣旨は益々重要になることも事実ではあります。2005年頃に法務省経産省が買収防衛に関するガイドラインを策定して15年が経過しました。資本市場の目線も大きく変わってきている現状に鑑みると、買収防衛策の在り方について世の中でもそろそろ議論が開始されても良い気もしますがどうでしょうか。