6月20日の日経新聞に「訪日消費 年内戻らず」という見出しの記事がありました。SMBC日興証券のあるエコノミストの方の予想ということですが、国内移動が全面解禁になったことで、個人消費の急減で2020年のGDP予想は若干持ち直すものの(ちなみにGDP(=C+I+G+EX-IM)の約6割が個人消費です)、訪日消費は年内いっぱいは回復しないであろうという内容です(ただ、エコノミストのいうことは鵜呑みにしてはいけません。所詮、エコノミストはビジネス経験もない人々で、彼らの意見は単なる予想に過ぎず、人々がどういう行動をとるかの正確な予測は困難)。
訪日外国人数が新型コロナウィルスによって激減していることは誰でも知っているとおりですが、あらためて日本政府観光局(JNTO)が直近で公表している5月の推計値統計を見ると、「2020年5月の訪日外客数は1,700⼈(前年同月⽐99.9%減)となり、8か月連続で前年同 月を下回り、単月の訪日外客数としては、JNTOで統計を取り始めた1964年以降、過 去最少となった」ということです。
訪日外国人の統計値は日経新聞でも毎月記事として掲載されるので、多くの方が知っおいるところですが、あらためて見るととても悲惨な数値ですね。
しかし、重要なことは、いずれ必ず訪日外国人は回復するということです。今は、普通に広い道路を歩いているだけで、マスクを着けているという、「何故マスクが必要なの?」というような不思議な状況が続いていますが、いずれ確実にこんなおかしな状況はなくなります。街を歩いている人々でマスクをつける人が減ってきた段階で、訪日外国人客の数も回復すると私は考えています。
問題は、訪日外国人オンリーで飯を食っていた体力のない企業は、訪日外国人の数が戻っても弱体化してしまっているケースが多いということです。収益がなくなることによる破綻リスクもありますが、現実には上場企業の破綻はめったになく(一方、中小企業は普通に破綻しますが)それよりも、従業員が他業界に転職することによる人材確保の困難による収益確保が出来ないことのリスクが大です。いざ訪日外国人数が回復し、「商売を頑張るぞ!」と社長が意気込んでも、頑張る力がもはやゼロという状況になります。
訪日外国人銘柄は、最近は詳細に調べていませんが、株価も低迷していると思いますので、将来の値上がりを期待すれば「買い」かも知れませんが、回復できない程度に弱体化しているリスクもあることに注意しなければなりません。
四季報が6月26日に出ますので、これを機に訪日外国人関連銘柄を再度洗い出して、分析しようかとも思いますが、やはり売上の見通しがたたない企業の株式を数十万、数百万円の単位で一定程度買いこむのは、一般の個人投資家にはなかなか勇気がいるところではあります。