中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

コーポレートガバナンス

「中小型株に仕込みの秋」 ー 時価総額1000億円以下の企業は万一に備える必要あります

今週は連日忙しく、ブログの記事の十分な更新ができませんでした。経産省のCGSガイドラインのポイント解説と事前警告型の買収防衛策を廃止する際のポイントの続きの記事を書く予定でしたが、投資先企業のIR部門とのメール交信での質疑応答で時間がとら…

物言う株主(アクティビスト)の武器 ー コーポレートガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)のポイント

昨日は、経済産業省が7月19日に公表したコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)について、某オンラインセミナーでの経済産業省の産業組織課長の説明資料と旬刊商事法務に記載の課長補佐クラスの方の解説記事を読みました…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第13回) ー 前回からの続き。企業は何をすればよいか?

前回の第12回で、コーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」)は順守すること(=コンプライ)が必須ではなく、コンプライしない場合には、その理由を説明すること(=エクスプレイン)でもOKなのですが、世の中の多くの上場企業は、何故か「…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第12回) ー 本当にコンプライ出来ているか?

1週間の夏季休暇も明日で終わり、月曜日から仕事に復帰です。火曜日から木曜日まで旅行をしており、旅行中も時間を見て新聞や読書をしようと思いましたが、株価をスマホで確認する程度で終わりました。移動が車であり、そもそも旅先で新聞や読書をするなど…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第11回) ー 中期経営計画が未達の場合に株主は何が言えるか?

今回からコーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」といいます)の第4章「取締役会の責務等」について個別論点の解説に入りたいと思います。CGコードでは、取締役会の役割として企業戦略等の大きな方向性を示すことが求められています。 では、…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第10回) ー 取締役会関係は株主にとって「材料の宝庫」です

先日、三ツ星の有事導入型の買収防衛策に基づく対抗措置の差し止めが最高裁でも認められましたね、つまり投資ファンド側が勝訴したということです。事前警告型の買収防衛策を廃止して有事導入型を検討する企業は、有事導入型がどういう場合に使えるのか、つ…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第9回) ー 非財務情報とは何?

石野雄一氏の「道具としてのファイナンス」をご存じの方は多いかと多います。2005年に出版されたコーポレートファイナンスの実務の基礎について書かれた本ですが、この度、増補改訂版が出るようですね。発売が8月8日のようです。早速、昨夜、アマゾン…

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第7回)(追加) ー 有事導入型買収防衛策に対する個人投資家の判断ポイントは

7月2日に有事導入型買収防衛策(以下、有事導入型と略します)について記事を書きましたが(最後に再掲しています)、本日、読み直したところ、何故か、企業としてどうすべきかという結論で終わっていました。 このシリーズは、個人投資家がコーポレートガ…

政策保有株式の縮減 ー 保有金額が高いと株主総会で経営トップへの反対増のリスク

7月22日の日経新聞に政策保有株式の縮減について、次の記事が掲載されていました。 政策保有株、三菱商事は58銘柄減 資本コストを意識: 日本経済新聞 三菱商事などの総合商社が政策保有株式の縮減を進めているという内容の記事です。ブログでも何度か記事…

コーポレートガバナンス・コードの制定の狙い ー 「日本再興戦略」改訂2014より

コーポレートガバナンス・コードの制定は2015年で、2018年と2021年にそれぞれ改訂がされています。今現在は制定から7年が経過しており、昨年の改訂を担当した上場企業各社の担当者や責任者は、2015年の制定時には関与していなかったという…

政策保有削減の状況の総会招集通知への記載 ー 「記載効果のある企業」のみが記載すればよいです

6月25日の日本経済新聞に次の記事が掲載されていました。 〈株主総会2022〉政策保有株削減の状況、総会前開示が3割に拡大: 日本経済新聞 企業が政策保有株式の縮減の状況や方針を株主総会の招集通知に記載する動きが広がっているということです。この狙い…

人材版伊藤レポート2.0(案)が公表

本日は1週間に1回の在宅での仕事の日です。色々と資料をプリントアウトして自宅に持ち帰りました。IR部門と一緒に統合報告書の骨格作りをしているので、本日は、社外取締役インタビュー(最近、これを記載する企業が多いです)などの骨子を考える作業に…

取締役会議長が社外取で機能するのか?

本日は1週間に1回の在宅勤務日です。本日は株価の動きを見ながら、インプット中心の仕事に励む予定です。株式の買い増しをしたいのですが、ウクライナ情勢が読めない中、なかなか踏み込めない状況が続きます。 3月9日の日経新聞によれば、東証プライム企…

社外取締役の多い企業では社外取の意見や果たした役割の具体的な開示が重要

統合報告書を作成する企業も多いかと思いますが、それに関して最近思うところが1つあります。東証のプライム市場の企業には、社外取3分の1以上が求められていることもあり、社外取を増やす企業がだいぶ増えているところですが、ひとまず増員することで安…

人権デューデリの指針策定 ー 欧米企業との取引の大きい企業は人権リスクに要注意

2月15日の日経新聞に「人権侵害防止 企業に指針」というタイトルで次の記事が掲載されています。 人権侵害防止、企業に指針: 日本経済新聞 内容は、政府は人権デューデリジェンス(人権DD)の指針を策定する予定とのことです。人権はESGの中のS(社…

「経営者の去り際に説明責任」ー 辞任だけでなく、短期間での任期満了退任の場合にも説明責任があると思います

2月8日の日経新聞に「経営者の去り際に説明責任」というタイトルで次の記事がありました。 経営者の去り際に説明責任: 日本経済新聞 国内外で経営陣が辞任する場合に、「合意に基づき退社」「一身上の都合により辞任」といった理由が簡単に書いてあるケー…

プライム市場で社外取締役3分の1以上は本当に必要か? ー GMOインターネットの2018年株主総会での社長意見が参考になります

今回の東証上場区分でスタンダート市場を選択した企業も多いかと思いますが、個人的には、とても賢明な選択をされた会社もその中にはあるのだと思います。プライドのためにプライム市場を選択した企業も多く(プライドとプライムは日本語が似てますね)、そ…

【分かりやすいコーポレートガバナンス】政策保有株式の完全なる縮減は現実的でない。ではどうするか?

最近機関投資家と会話をすると、依然として政策保有株式の縮減の継続を求める声が強いと感じますが、その一方で、なかなか難しいという理解もしてきている印象を一部受けます。 2018年にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、政策保有株式の縮減が…

ブラックロックのラリーフィンクCEOの手紙 ー ステークホルダー資本主義

昨日の日経新聞にも掲載されていましたが、大手運用会社のブラックロックのラリーフィンクCEOの2022年の手紙が次のとおり公表されました。 ステークホルダー資本主義ということで、人材獲得に向けての従業員との関係構築の重要性を求める点を重視する…

東証市場再編関連の過去ブログ記事です

昨日、東証の新市場区分のリストが公表されました(私のところにも東証からリストが送付されてきました)。本日の日経新聞の1面にも大きく掲載されていますが、プライム市場企業数が1841社、スタンダード1477社、グロース459社ということです。…

スタンダード市場を選択した理由 ー エバラ食品工業の開示文より

本日から1月4日まで仕事が休みのため、株式投資に絡む情報整理、過去の株式投資ノートの復習等を開始しました。また、この半年以内に購入した書籍(「サラ金の歴史」「労働組合とは何か」「ステークホルダー資本主義」「感染症の中国史」「金融庁戦記」)…

東証1部上場企業がスタンダード市場を選択する理由 ー クックパッドの開示文より

東証1部の2100社の8割近くがスタンダード市場を選択する予定ということで批判されていますが、そもそも簡単にプライムに上場できるなら、中小型銘柄はプライムを選択するのは当然かなと思います。非常に分かりやすい例でいうと「東大に簡単に入れるよ…

【分かりやすいコーポレートガバナンス】役員報酬の指標

昨日はある投資先企業の1H決算説明会の動画を視聴したのですが、社長が資料の文字を読むだけのあまりにレベルの低い説明にがっかりして、終わった後にIR部門にメールでいくつかポイントを絞った質問をしました。この企業のIR部門の方は毎回真摯な対応を…

【分かりやすいコーポレートガバナンス】卓球の福原愛氏の社外取締役選任理由 ー 「卓球の見識を企業価値向上に活かす」

本日からコーポレートガバナンスについて、時々、身近な例について記事を取り上げていく予定です。「分かりやすいコーポレートガバナンス」というタイトルを付けてみました。「コーポレートガバナンスって何?」という方向けに簡単な内容にして、ツイッター…

政策保有株式に対する事業会社(政策保有株主)の議決権行使結果の開示のすすめ

昨日の日経新聞に「「批判されない」持合い株」というタイトルの記事がありました。 「批判されない」持ち合い株: 日本経済新聞 内容としては、何故持合い株式が嫌われるかの理由と、最近の縮減の動きについてごく基本的なことが書かれています。その中で、…

取締役会の実効性評価の考えのポイントは理解しているでしょうか? ー 外部業者のカモにされないために①

少し前に社内外で取締役会の実効性評価(以下「実効性評価」)を担当している方々のある会議に呼ばれ、実効性評価について説明することになりました。その方々は外部の業者を起用して実効性評価をしているのですが、いずれの方も総務部、法務部、人事部とい…

取締役会のスキルマトリックス ー 時間をかけて真剣に考えるようなレベルの話ではないです②

前回、取締役のスキルマトリックスについて、真剣に悩み時間をかける必要は全くないことを紹介いたしましたが、今回、その理由について説明します。 スキルマトリックスは取締役会のメンバーのスキルを一覧化したものですが、これが使用される局面は、株主総…

取締役会のスキルマトリックス ー 時間をかけて真剣に考えるようなレベルの話ではないです①

日経新聞の1面で「企業統治の現実」という記事が連載されています。3年前のコーポレートガバナンス・コード改訂の時はここまで日経新聞で取り上げられた記憶があまりないのですが、企業統治に関して、従来よりも世間の関心が高くなっていることの現れかと…

東証がコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を6月11日に公表 ー 上場企業・投資家は東証のパブコメの結果を読みましょう

金融庁のフォローアップ会議でこれまで議論されてきたコーポレートガバナンス・コードの改訂作業ですが、6月11日に東証が改訂コーポレートガバナンス・コード(CGコード)を次のとおり正式に公表しました。 https://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu0000…

アイ・アールジャパンの株主総会議案にISSが反対推奨 ー アイ・アールジャパンはびっくり?

株主サービスを提供しているアイ・アールジャパンは今年の定時株主総会で次のとおり定款一部変更議案を上程することを予定しています。内容は、場所の定めのない株主総会の開催を可能とするための定款変更になります。 https://www.irjapan.jp/ir_info/relea…