中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

(5/28に補足を最後に追加しました)グラスルイスがトヨタ自動車の会長選任議案に反対推奨 ー この情報の見方は?

本日は、四季報オンラインでPBR1倍割れ、株主資本比率70%以上などの複数の条件で銘柄を検索して、今後の投資候補先を探索する作業を開始しました。しかし、ヒットした銘柄が140銘柄以上あり、さすがに1つずつ確認すると疲れます。他にやりたいこともあり、7銘柄程度の個別分析で本日は中断しました。残りは、週明け月曜日以降の平日の昼休みの時間帯や日中の暇な時間に、各銘柄の四季報記事と決算開示資料をオフィスの自席でコツコツと短時間で分析する作業をすることに変えました。

さて、本日は面白い記事が1つありました。議決権行使助言会社のグラスルイスが本年のトヨタの取締役選任議案で会長に反対推奨したようですね。以下は日経新聞の記事になります。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71385410W3A520C2TB0000/

これはどのように考えればよいでしょうか? 大事なのはISS社がどういう判断をするかですね。議決権行使助言会社はISS社とグラスルイスがありますが、ISS社の方が圧倒的なシェアのはずです。とすると、グラスルイスが反対推奨をしたところで、ISS社がもし賛成推奨した場合には、海外機関投資家の多くはISS社の賛否推奨を採用するので影響は小さいという読みになります。

トヨタの実質株主である海外機関投資家の上位がグラスルイスの賛否推奨レポートを採用していれば話は別ですが、普通に考えると、おそらくISS社の賛否推奨を採用していることが多いのだろうと思います(これは私の想像です)。

もっとも、ISS社も反対推奨をした場合には状況が変わります。この場合には、トヨタはISS社の推奨結果について、反論を掲載して、海外機関投資家に自社の見解を理解して貰い、ISS社の推奨基準と異なる議決権行使を促進するという作業が発生するかも知れませんね。ところでISS社は賛否のいずれの推奨をするのでしょうか?ISS社とグラスルイス社の議決権賛否推奨基準は結構異なりますので(※以下、補足追加します)。

明日は、朝から約1時間のウオーキングをし、夕方はプールで泳ぎリフレッシュをする予定です。

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(※補足追加)上記記事を書いた後に新聞を読んだところ、本日の日経新聞に次の記事がありました。これを読む限りでは、ISS社はグラスルイスとは異なり、会長選任議案には反対推奨はしていないような感じですね。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD2717I0X20C23A5000000/

ただし、欧州の運用会社の株主提案に賛成推奨をしたようです。いずれにせよ、議決権行使助言会社の判断が総会議案に影響を与えるというこの問題はどうにかならないものですかね。海外機関投資家への分かりやすい開示、海外機関投資家とのエンゲージメントを充実させるということしかないのかも知れませんが。株を保有していない助言会社が影響を持つのはおかしい。