昨日は東京は寒い一日でした。毎年、12月に入るとどのタイミングで厚手のコートを着るべきか迷います。通勤電車の中は混雑して暑いので、実際のところはそれほど寒く感じる時間も少ないので(私の場合、電車に乗る時間は乗り継ぎ1回で合計15分)、今年も12月下旬頃かなと思っています。どうでもよいことですが、毎年のこの時期の小さな悩み事です。
さて、前回、経営トップの取締役選任議案について国内機関投資家の議決権行使基準の改定の動向を簡単に紹介しました。今回は、前回の続きということで海外機関投資家の議決権行使基準についてお話をしたいと思います。
外国人株主比率の高い企業では、海外機関投資家の議決権行使の動向は非常に気になるところかと思います(外国人株主=海外機関投資家と考えてOKです)。日本の機関投資家は、ホームページに議決権行使基準を開示していますが、海外の機関投資家は、英語ということもあり、そもそもホームページを見たこともないという方がほとんどではないでしょうか。
では、海外機関投資家は、日本の国内機関投資家のように独自の議決権行使基準を策定して、それに照らして投資先の日本企業に議決権行使をするのでしょうか?
なかにはそういう機関投資家もありますが、議決権行使助言会社の行使基準に即した議決権行使をする機関投資家がかなり多いです(全ての海外投資家を調べたわけではないです)。つまり、議決権行使助言会社であるISSやグラスルイスの基準に即した判断をするのです。「何で?」と思う方もいるかと思います。私も実務をはじめたばかりの頃はそういう疑問がありました。機関投資家はプロなので、自分たちでしっかりとした方針を策定し、それに即した議決権行使をすべきではないか?という疑問です。
海外の機関投資家も本来、投資先企業を1つ1つ分析して議決権行使をするのがアセットマネジャーとしての役目かと思います。けど、日本の法制や詳細実務は海外の方には分かりにくいという事情があります。米国の機関投資家であれば米国企業のことは良く分かりますが、海をまたいだ日本の法制や実務を詳しく知っているかというと難しいところかと思います。仕方ないかと思います。日本の投資家が米国や欧州の国の法制やコーポレートガバナンス実務に詳しくないのと同じですね。そこで、議決権行使助言会社の議決権行使の賛否推奨基準(あくでまで賛否の推奨です)を採用するのです。
賛否推奨基準は日本版です。つまり、日本企業に限定しての基準です。日本企業を取り巻く社会経済環境やコーポレートガバナンスの浸透状況などを見て、毎年、議決権行使助言会社であるISSなどは基準をアップデートしているわけです。ので、日本企業に投資をする海外機関投資家としては「これを利用しない手はない」ということになります。
では、来年の株主総会に向けて上場企業が留意すべきは、ISS(グラスルイスは無視します)の議決権賛否推奨基準のどの点になるかですが、この点は次回、お話をしたいと思います。