7月1日の日経新聞によれば、みずほフィナンシャルグループの本年の定時株主総会でNPO法人の出した株主提案の賛成率が34.5%に達したようです。
気候変動の経営戦略を開示するよう求める株主提案であり、議案自体は否決されたものの、北欧の機関投資家が賛同するなどして想定を上回る賛成だったようです。株主提案で35%近くの賛成があったということはすごいことであり、みずほは票読みの時点で社内では相当の緊張があったことと想像します。
ここまで賛成票が集まった背景には、議決権行使助言会社が株主提案に賛成推奨をしたことにあるようです。日本の国内機関投資家の多くは、自社の議決権行使基準を有し、それに基づいて判断しますが、海外の機関投資家はISSの賛否推奨基準に左右されるケースが多く、助言会社が賛成推奨をしたことで海外の機関投資家の賛成票が集まったのだと思います。
北欧の機関投資家の賛成が多かったということですが、欧州の機関投資家はESGへの関心が高いことから当然のことと思います。さて、今回のみずほのケースを踏まえて企業は何をすべきでしょうか。
みずほへの株主提案の内容を確認して、助言会社の賛成推奨レポートを入手、賛成推奨した理由を確認することが大切になると考えます。その上で、自社の気候変動の開示の状況を見て、同じような株主提案があった場合、助言会社の賛同が得られるかどうか、賛同が得られない場合、得られるようにすべく環境関連の開示について見直しをする必要があります。
上場企業の多くは昨今のESGへの世間の高まりの中、環境について何らかの対応をしているかと思います。しかし、いくら良い検討をし、開示をしていても、その内容が助言会社の賛同を得られる内容になっていないと意味がないのです。
ESGの関心の高まりとともに、ESG評価会社が竹の子のように増えてる中、評価会社から良い評価を貰うことも重要ですが、もっと根本的に大事なのは、環境開示の株主提案があった場合、議決権行使助言会社の賛成が得られるような環境開示をしているかの確認が重要になります。
改訂スチュワードシップ・コードにおいて、議決権行使助言会社は自ら企業と対話をすることが求められていることもあり、3月末決算期の上場企業は株主総会も昨日までに終わったかと思いますので、今後は気候変動への対応の開示の考え方について、ISS、グラスルイスの日本の議決権行使担当者と面談をして、考えを把握することも重要のような気がします。