中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

MBOによる非上場化が増加

本日7月4日の日経新聞MBOにより非上場化を選択するケースが増えているという記事がありました。MBOとはマネジメントバイアウトで、社長・経営陣が自社の株式を取得して、非上場化する方法です。

経営陣が買い取るといっても、サラリーマンの社長や経営陣が上場企業の株式を買い取るのは個人の資金面を考えると困難で、時価総額のそれほど大きくないオーナー企業の社長一族(プラス経営陣)が、投資ファンド等と共同して行うケースが多いかと思います。

新聞報道によると、2020年1~6月は7件あり、8年半ぶりの水準であったということです。

上場していると株主を常に念頭において経営する必要があり、場合によってはアクティビストなどが株式を取得して経営に口を挟まれることもあるところ、株主の目線をいちいち気にすることなく機動的に経営判断するために非上場化を選択します。

上場の大きな意義の1つは、資本市場からの資金調達ですが、その必要がないのであれば上場をするメリットは乏しいかと思います。中小型銘柄の場合、巨額の資金調達をするケースはあまりないと思いますので、銀行借入で足るのであれば、特にキャッシュリッチ企業であればなおさら、上場の必要性は小さくなるのです。もっとも上場廃止により、新卒大学生の採用面ではデメリットがあるとは思います。

このMBOですがオーナ社長と投資ファンドが資本を持つ特定目的会社(SPC)が対象企業にTOB(株式公開買付)をかけることになりますが、TOB価格は市場価格にプレミアムがのせられます。プレミアムはケースバイケースですが、市場株価に対して最低でも40%以上となることが多いように思います。つまり、対象会社の株価が1,000円とすると、TOB価格は1,400円となるので、株主はTOBに応じることで400円のキャピタルゲインとなります。株主にとってはとてもおいしい話です。

5月8日頃にニチイ学館がMOBを公表しました。私は4月頃にコロナの影響で株価が下っていたニチイ学館を購入しようと財務分析をしていたのですが、TOB価格は1,500円でした。TOB 公表前は1,000円でしたので、単純に50%のプレミアムとなります。あの時購入しておけばよかったと少し後悔しました。

数年前から保有する銘柄の中で、近いうちにMBOをするのではとヤフーファイナンス掲示板で噂をされている銘柄があり、株価も最近下がっていることもあり、買い増しをしています。この銘柄には、是非MBOをして欲しいところです。