金融庁のフォローアップ会議が、4月10日に開催され、意見書のドラフトが提示されました。まだドラフトですが、フォローアップ会議で今後議論していく課題が記載されております。次のような内容です。
<スチュワードシップ>
- 運用機関に議決権行使結果以外に企業との対話プロセス及び結果公表を促すこと
- 集団的エンゲージメントの強化
- 企業年金のスチュワードシップ活動を後押しするための取組の促進
- 運用機関の議決権行使に与える影響が大きいことに鑑み、①助言会社の人的・組織的体制の整備や基準策定プロセスの公表 ②助言会社自らによる企業との対話の積極的実施
- 資本コスト意識経営、政策保有株式等の改訂コード踏まえた企業の取組みの検証
- 内部監査部門が経営陣から独立した監督機関への直接報告の仕組み確立
- グループガバナンスの在り方の検討
議決権行使助言会社への規制が強化されるようです。
議決権行使助言会社といえばISSです。ISSの各銘柄の議決権行使の賛否推奨判断は、機関投資家の議決権の賛否行使に与える影響が大きいところ、ISSは個別銘柄の企業の実体を正確に把握せず議案への反対推奨を出すこともたまにあると言われており、「これではいかん」ということで、ISSが人的リソースを充実すること、企業と対話をすることを促すことのようです。
第18回のフォローアップ会議資料によれば、約4割の機関投資家が議決権行使助言会社を活用しており、その中で、議決権行使助言会社の賛否推奨レポートを参考にしているが44%、賛否推奨レポートに沿って議決権行使を指示しているのは30%となっています。
機関投資家である運用会社は、各社、自社の議決権行使基準を有しています(各社のホームページで公表されています)。
にも関わらず、運用会社は、個別銘柄の議決権行使に当たって議決権行使助言会社のレポートを参考にするということは、自社の基準で明確に判断出来ないケースもあるので、その場合に推奨レポートの意見を採用するということでしょうか。
本来、アセットオーナより運用資金を預かっている機関投資家が自身の判断で投資先企業の総会議案を判断して議決権の行使をすべきですが、それを期待するのはなかなか難しく、そうであれば、議決権行使助言会社をしっかりした体制にしていこうということかと思います。